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朝鮮半島リポート 2020年度アジア研究報告書

金正恩時代の北朝鮮経済

幹事:伊集院 敦
  首席研究員

2021/03/25

 公益社団法人日本経済研究センター(JCER)では、2020年度のアジア研究報告書「金正恩時代の北朝鮮経済」をまとめました。
 朝鮮半島情勢が大きな転機を迎えています。北朝鮮の非核化問題が暗礁に乗り上げたまま、北東アジアの国際関係が激しく変化しているためです。2020年11月の米大統領選の結果、トップダウンで史上初の米朝首脳会談を実現させたトランプ大統領は権力の座を降り、バイデン政権が発足しました。北朝鮮は21年1月の第8回朝鮮労働党大会で、核戦力などの軍事力増強を続ける方針とともに、自力更生の経済路線を固めました。
 アジアや世界の地政学的リスクである北朝鮮問題は外交や軍事の問題として語られることが多いですが、実は経済も無関係ではありません。19年2月のハノイでの2度目の米朝首脳会談が物別れに終わったのは、非核化をめぐる米朝の主張に隔たりがあり、北朝鮮が見返りとして求めた経済制裁の緩和でも折り合いがつかなかったのが原因です。
 今年は金正恩氏が11年12月に死去した金正日総書記の後を継ぎ、北朝鮮の最高指導者になってちょうど10年です。新型コロナや自然災害などが直撃し、その経済運営は北朝鮮内部にとどまらず、地域情勢や世界の平和と安全に影響を及ぼす状況になっています。そのような観点から、外側からは見えにくい北朝鮮の実態について、経済政策、貿易動向、商品経済、インフラ整備、食糧問題、地方経済、観光事業など多角的な分析を行い、その成果をまとめたのが本報告書です。プロジェクトの実施に当たっては韓国国際交流財団の助成を受けました。この報告書が多くの読者の参考になれば幸いです。

【執筆者一覧】

伊集院 敦
日本経済研究センター首席研究員(編者)
新井 洋史
環日本海経済研究所調査研究部長・主任研究員
礒﨑 敦仁
慶應義塾大学准教授
小針 進
静岡県立大学教授
堀田 幸裕
霞山会主任研究員
三村 光弘
環日本海経済研究所主任研究員
宮本 悟
聖学院大学教授
李 鋼哲
東北亜未来構想研究所所長
李 燦雨
帝京大学准教授
 
 















【関連書籍のご案内】
『金正恩時代の北朝鮮経済』(文眞堂、6月8日発刊)

内容に関するお問い合わせは研究本部(TEL:03-6256-7740)までお願いいたします。

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