中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が3月5日、首都北京市で開幕した。会議冒頭で李克強首相は「政府活動報告」(以下、「報告」)を行い、新型コロナウイルスの影響で疲弊した経済の再建に成功した昨年の実績を強調しつつ、2021年は通常モードといえる「6%以上」の実質成長率を目指すとした。21年から始まる第14次5カ年計画(21~25年)については「労働生産性の伸び率が国内総生産(GDP)の伸びを上回るようにする」などの目標を示すにとどまった。
【ポイント】
- 5日に開幕した全人代で李克強首相は「経済は長期的に好調」と強い自信を示しつつ、2021年の成長率の目標は「6%以上」とした。内外の予想より低めの設定だが、新型コロナの感染再拡大など不測の事態を視野に入れ、確実に実現できるレベルを示したとみられる。
- 政策面では膨らんだ財政の正常化に取り組む姿勢を鮮明にした。対GDPの財政赤字比率を2020年から大きく減らす方針で、景気刺激策は中小・零細企業向けを主軸とし、ばらまき的な支出は避ける構えをみせた。
- 第14次5カ年計画にも言及したが、具体的な目標値は示さなかった。科学技術立国の実現や国内・国際市場の双循環などを基本方針にあげた。
本リポートに連動して、当センターの会員向けに、3月5日に李克強首相が演説した政府活動報告全文の日本語訳も掲載しております。ご参照ください。
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