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中国・アジアウォッチ

加速する中国の社債デフォルト

――1~3月で金額は24%増、紫光など不安続く

湯浅 健司
  首席研究員兼中国研究室長

2021/04/14

 中国で社債の債務不履行(デフォルト)の動きが加速している。昨年11月に高い信用格付けを得ていた国有大手企業が突如、デフォルトを宣言して、市場が混乱。それ以降も各地で経営不振に陥る大手企業が後を絶たず、今年1~3月の不履行額は前年同期比24.3%増と、第1四半期では過去最大の規模となった。中国経済は新型コロナウイルスの影響から脱し「コロナ前」の水準に戻りつつあるが、一方では放漫経営のツケが回り、資金繰りに苦しむ企業は後を絶たない。当局が景気の過熱を避けるため金融引き締めに姿勢を転じれば、社債デフォルトは一段と拡大する可能性がある。

【ポイント】

  1. 中国で社債の債務不履行(デフォルト)の増加が続いている。今年初めから3月末までの不履行額は721億元にのぼり、前年同期の水準を大きく上回った。通年でも過去最大だった2020年を上回る勢いだ。
  2. 最近では不動産や航空関連の経営不振が目立つほか、中国の半導体産業を牽引する国策会社、紫光集団も昨年に続き資金難に苦しんでいる。デフォルトの影は様々な産業に広がってきた。
  3. 市場の混乱を受けて、社債の発行を見送るケースも相次いでいる。一部の不健全企業のデフォルトは健全な企業の資金調達にまで悪影響を及ぼしつつある。