<要旨>
新型コロナウイルス禍で世界経済が深刻な打撃を受ける中、国内の住宅市場もその影響を免れない。国土交通省の集計によると、2020年4〜9月の住宅(戸建て・分譲マンション)の取引件数は前年同期から14%減った。同省が公開する個別取引データを集計したところ、この間の物件の1坪あたりの平均単価は6.2%下がった。
ただし価格帯ごとに単価の伸びを推計すると、安い物件と高い物件で値動きには大きな差があることがわかった。需要縮小を反映して低価格物件の単価が大きく下がる一方、高額物件への影響は小さく、コロナ禍によるいびつな値動きが浮き彫りになった。特に取引の流動性が比較的高いとされるマンションの高価格帯は、品質を調整した単価が20年に6%超、上昇した。
商業施設やオフィス向けの投資が低調な中で住宅取引に流入するマネーは増えたこともあり、より高品質・好条件の物件が選好された面がある。ただし低所得層では持ち家を手放す傾向が表れており、状況をきめ細かに注視する必要がある。
※2021年4月25日付の日本経済新聞朝刊で本レポートの内容が紹介されました。
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