中国で計画中の半導体プロジェクトがとん挫するケースが相次いでいる。巨額の資金を調達できず、工場の完成を待たずに労働者を解雇したり、中には当初から補助金目当てで実現性が怪しかったりする案件もある。習近平政権は米国に対抗するため、半導体の国産化比率の向上を掲げ、業界育成を急いでいるが、肝心の事業主体となる企業はまだ未成熟。産業基盤の強化は容易ではない。
【ポイント】
- 中国の山東省で建設中だった半導体の1兆円プロジェクトが止まってしまった。事業主体が資金難に陥った模様で、操業開始を前にして従業員を解雇する事態となったという。
- 中国の半導体産業はここ数年、右肩上がりで成長を続けている。市場規模は4年で倍増したほか、20年の半導体部門への投資総額は前年の5倍近くに膨らんだ。
- 市場の拡大と政府の補助金目当てに新規参入が後を絶たないが、山東省のプロジェクトのように事業性が乏しく、とん挫する例は少なくない。政府は半導体自給率の向上を急いでおり、そのためには、いかに業界の健全化を図るかが大きな課題である。
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