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朝鮮半島リポート 【朝鮮半島リポート】 (第24回)

北朝鮮の金融業の現況(上)

――「北朝鮮の産業2020」から

朝鮮半島経済研究会
   

2021/06/29

 北朝鮮は6月15-18日に開いた朝鮮労働党中央委員会総会で、経済を中心とする国家政策を討議した。経済制裁、新型コロナウイルス、自然災害の「三重苦」が指摘される中、北朝鮮経済を動かす主要産業の実態はどうなっているのか。韓国の政府系金融機関である韓国産業銀行がまとめた『北韓(北朝鮮)の産業2020』から、まずは金融業の現況を抜粋・要約して紹介する。

【第24回のポイント】

① 北朝鮮の金融制度は、国家銀行を中心とする国家の中央執権的かつ垂直的な制度である点が特徴だ。

② 北朝鮮は2000年代に入り金融業務多角化のための政策を推進、銀行業務の電算化や外国金融機関との合弁銀行設立などを進めた。企業への内貨および外貨による現金決済の許容、個人向け電子決済カードサービスの導入など新たな動きを見せている。

③ 北朝鮮の中央銀行は発券および商業銀行、財政管理の役割を担っているものの、商業銀行としての機能は正常に果たせておらず、資金需要は非合法金融を通じて解決され、非合法金融が拡大している。

④ 金融本来の役割を果たすようにするには、外国企業との合営銀行の設立などを通じ、外部からの変化を誘導することも重要だ。

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