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朝鮮半島リポート 【朝鮮半島リポート】 (第26回)

北朝鮮の金融業の現況(下)

――「北朝鮮の産業2020」から

朝鮮半島経済研究会
   

2021/07/13

 北朝鮮では近年、地域別に商業銀行を設立していることが確認されている。従来は中央集権的な計画経済体制の下で、中央銀行が商業銀行の役割も果たしていたが、計画建設に必要な資金調達ルートの拡大などが狙いとみられる。韓国の政府系金融機関である韓国産業銀行がまとめた『北韓(北朝鮮)の産業2020』から、商業銀行の動向など北朝鮮の金融業の現況を抜粋・要約して紹介する。

【第26回のポイント】

① 北朝鮮の商業銀行は、日本での都道府県にあたる行政単位である各道別に設置されている。国家予算で運営する従来の国営銀行と異なり、一種の独立採算制で運営されている。

② 商業銀行は当該地域の企業や個人向けに預貸業務、為替業務などのサービスを行なっているが、個人への融資は行なわないという特徴を持つ。これは個人の遊休貨幣資金を銀行に集中させて、企業の資金需要に充てることを目的としたものと思われる。

③ 北朝鮮には対外決済銀行や外国との合営(合弁)銀行などもあり、対外経済関係の一翼を担っている。しかし、米国および国連安全保障理事会の経済制裁の対象となっている銀行も多く、実質的な役割を果たしているかどうかは不透明である。


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