米国のSPAC(特別買収目的会社)上場の波はアジアにも及んでいる。香港などアジアの投資家がSPACを組成し、スタートアップの買収・上場を画策している。20年前のITバブル(ネットバブル)で活躍した香港の投資企業パシフィック・センチュリー・グループ(PCG)や、ユニコーンに巨額の投資をしてきた日本のソフトバンクグループなどだ。一方、アジアのスタートアップの間でもSPACによる上場への関心が高まっており、2020年以降、すでに15社がSPACを通じて上場した、あるいは上場を表明している。
【ポイント】
- 米国のSPAC(特別買収目的会社)ブームはアジアにも押し寄せている。香港などアジアの投資家はすでに複数のSPACを創設し、統合するスタートアップを物色している。20年前のITバブル(ネットバブル)で活躍したパシフィック・センチュリー・グループ(PCG)の李沢楷(リチャード・リー)なども米有力投資家と組んでSPACを設立し、東南アジアの有望企業の上場を狙っている。
- 日本のソフトバンクグループも米国でSPACを組成し、スタートアップの米国での株式公開をもくろむ。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じて多くのユニコーンに投資する同社は、SPACを投資企業の出口戦略に積極活用している企業でもある。
- 一方、アジアのスタートアップも2020年以降、15社がSPACによる上場を実行、あるいは上場を表明している。主に米国のSPACが合併の相手で、米国系SPACによるアジア企業の買い漁りがさらに活発化するとみられる。インドネシア、シンガポールやユニコーンが多く存在するインドでSPACによる上場が相次ぐ兆しがある。
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