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朝鮮半島リポート 【朝鮮半島リポート】 (第28回)

「苦難」の北朝鮮経済(下)

韓国側推計、現体制で最大のマイナス

朝鮮半島経済研究会
   

2021/09/13

 北朝鮮は13日、新型長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと発表した。その裏で、北朝鮮経済は国際社会による経済制裁と新型コロナ禍、水害などが重なり、生産活動にも大きな影響が出ている。韓国側の推計では、昨年の経済成長率は金正恩政権下で最大の落ち込みとなった模様だ。対外貿易の減少による原材料不足が農林水産業や鉱工業などの生産を直撃し、厳しい状況がいまも続いているとみられる。韓国の中央銀行である韓国銀行が発表した「2020年北朝鮮の経済成長率推定結果」の内容を紹介しながら、北朝鮮の経済動向を分析する。

【第28回のポイント】

① 韓国銀行の推計によると、2020年の北朝鮮の実質経済成長率は前年比4.5%減少した。金正恩政権下で最大の落ち込みで、深刻な経済難で多数の餓死者が出た「苦難の行軍」の時期である1997年の6.5%減に次ぐマイナス幅を記録した。

② 金正恩政権は20年1月末から新型コロナ対策で国境封鎖に踏み切り、対外貿易の減少によって原材料や肥料などの供給が急減し、農林水産業と鉱工業などの生産が減少した。この結果、韓国との経済格差はさらに拡大した。食糧不足が深刻化し、住民生活にも影響が出ている模様だ。

③ 北朝鮮は2021年からの新たな「国家経済発展5ヵ年計画」で金属工業・化学工業優先の政策を打ち出したが、金正恩総書記は「人民大衆第一主義」を掲げ、最近の会議では住民生活に直結する農業と一般消費財の増産に力を入れる姿勢も示している。しかし、新型ミサイルの開発はじめ軍事力強化の姿勢も変えておらず、自力更生をベースとした経済政策がどこまで成果をあげられるかは不透明だ。

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