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経済百葉箱 第160号

雇用対策にも資するワクチンパスポートの利活用

―雇調金特例措置の打ち切りで失業者12万人増加と試算―

田中大貴 <監修>短期経済予測主査:稲葉圭一郎、総括:松尾朋紀
   

2021/10/11

▼ポイント▼

          • コロナ禍、わが国の完全失業率の上昇幅はG7諸国の中で顕著に小さかった。雇用調整助成金制度の特例措置によって、休業者という形で多くの雇用が維持されたためだ。大底から景気回復が持続するもとで、わが国の雇用環境も総じてみると回復基調にある。
          • もっとも、「コロナ直撃業種」は後れをとっている。度重なる緊急事態宣言によって人の移動がなかなか回復しないためだ。同業種では、休業者数や失業の発生が高止まりしているほか、上場企業による早期退職募集の主たる発生源となっている。
          • 雇調金特例措置が予定通り11月末に打ち切られれば、完全失業者が12万人増える試算。このうちコロナ禍特有の休業者は8万人である。
          • 失業の長期化はわが国経済の成長基盤を損なう。ワクチンパスポートの利活用は、人の移動の回復を促すことを通じて「コロナ直撃業種」における労働需要の早期回復に資するため、有効な雇用対策となる。

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