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Discussion Paper Discussion Paper 116 (2008.08)

[No.116] クレジット・スコアリングと金融機関経営 ――第1世代の中小企業信用リスク計測モデルを用いた検証

蓮見亮 研究員
   
平田英明 副主任研究員/法政大学経営学部准教授
   

2008/08/01

要 旨

 本稿では、この数年で急速に一般化してきたスコアリング貸出の定量的な情報を用いて、金融機関経営とスコアリング貸出市場の今後の拡大の可能性について検証する。金融機関の貸出行動をモデル化し、Moody’s モデルを使った貸出のシミュレーションを行ってみると、単独の財務指標に頼って貸出の可否を判断するよりも、高い収益性を実現することが確認される。ただし、個々の企業レベルでみると、高いスコアを得ていた企業がデフォルトしたケースも少なからず存在している。この事実は、スコアリング貸出を小口分散化させ、スコアリング貸出債権を一つのポートフォリオとみなすべきであることを示唆する。
 モデルの特徴に関してもいくつかの検証を行うと、説明力の高い変数へのモデル内でのウエイトが不十分である可能性が示唆された。そして、財務諸表の信頼性が、スコアの精度を押し下げているインパクトも、無視し得ない。審査コストの削減はモデル適用の大きな利点であるといわれるものの、スコアリング貸出をより採算のとれるビジネスにするためには、小野[2007] が指摘するように、事前の面談やモニタリングなどのコスト負担は避けられない。