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Discussion Paper Discussion Paper 083 (2002.12)

[No.083] 保育サービス供給の経済分析–認可・認可外保育所の比較

白石小百合/研究員
   
鈴木亘/大阪大学
   

2002/12/02

要 旨

本論文では、経営主体別の保育所の質と効率性について、確率的フロンティア生産関数による推計を行った。まず独自に行ったアンケート調査の結果をもとに、保育サービスの質指標を試算した。具体的には保育サービスの質として、①対児童(健康管理、保育内容、保育環境)、②対保護者(保護者の利便性、保護者との連携・情報提供)、③対地域(地域の子育て支援、交流)④運営管理(安全管理・運営、保育士の能力向上)――の4分野に関連する項目を全て実施した場合のポイントを1とする「保育サービスの質指標」を作成した。保育サービスの質指標は、私立認可保育所が0.838であるのに対し、公立認可保育所は 0.813、準認可保育所は0.758であった。次に①保育サービスの質と生産の効率性が両立するか②経営主体により民間と公立では生産の効率性に違いがあるか――について確率的フロンティア生産関数による推計を行った。推計にあたっては保育単価において保育士加算分が低年齢児ほど高いことを踏まえ、保育サービスの生産物を、より低年齢児にウエイトをかけた児童数に開所時間を掛けたものとし、生産を行うための投入を労働(保育士人数×週あたり労働時間)と資本(施設面積)とした。非効率性を説明する要因としては保育サービスの質指標や経営主体等を考えた。推計結果によると質が高い保育所ほど効率性も高いことが明らかになった。保育所を効率的に運営することが保育サービスの質の低下につながるという恐れは、この推計結果からは否定されることを意味する。経営主体別に効率性を平均値により単純に比較すると、高い方から順に、準認可、私立認可、公立認可であり、準認可の生産の効率性が最も高かった。よって民間主体の方が公立よりも生産の効率性は高いことがわかった。