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Discussion Paper Discussion Paper 087 (2003.06)

[No.087] 住宅・土地と金融危険資産の相互関係–住宅・土地のシェアは株式等のシェアを減少させているか

松浦克己/横浜市立大学商学部教授
   
白石小百合/副主任研究員
   

2003/06/01

要 旨

 日本の家計の資産選択の特徴として、持ち家比率が高く、資産に占める土地・住宅(以下「実物危険資産」とする)の比重が高いことから、株式等(以下「金融危険資産」とする)と土地・住宅を併せた危険資産の保有比率や資産に占めるシェアはアメリカの家計と大差がないとする見方がある(経済白書[1999] など)。地価下落が続く中、家計が企業へのリスク資金を供給する新たな主体となることなどの点から、実物危険資産から金融危険資産へと家計が資産選択をシフトすることを期待する見解もある。つまり株式等と住宅・土地の保有には代替関係があるのではないかという見方である。
 そこで本稿ではまず、日本と欧米6カ国について、資産構成(シェア)、保有資産の組み合わせ、金融資産別の保有の有無に関する国際比較を行ったところ、日本の家計の実物危険資産のシェア・保有率が格別に高いわけではない、金融危険資産のシェア・保有率は各国に比べて低い反面デフォルトリスクの顕在化した中間資産(保険)のみを保有している世帯が全体の世帯に占める比率が高い――ことがわかった。
 次に金融危険資産シェア方程式と実物危険資産シェア方程式を、お互いの内生性を明示的に考慮した二段階連立Tobitモデル推定による実証分析を行ったところ、実物危険資産シェアの期待値は金融危険資産のシェアに統計的に有意な影響を与えていないが、金融危険資産シェアの期待値は実物危険資産のシェアに統計的に有意にマイナスの影響を与えていることから、実物危険資産シェアの減少は金融危険資産シェア増加にはつながらない――との推計結果を得た。