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Discussion Paper Discussion Paper 121 (2009.07)

[No.121] 日本経済研究センターCGE モデルによるCO2 削減策の分析 ――「中期目標検討委員会」で用いたモデルと試算の解説

武田史郎 関東学園大学経済学部/上智大学・環境と貿易研究センター
   
川崎泰史 主任研究員
   
落合勝昭 副主任研究員
   
伴金美 大阪大学大学院経済学研究科
   

2009/07/01

要 旨

 本年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15(気候変動枠組条約締約国会議)において、京都議定書の次の国際的枠組みが決められることになっている。これに向けて、政府の「地球温暖化問題に関する懇談会」の下に「中期目標検討委員会」が設けられ、4月に6つの選択肢がまとめられた。日本経済研究センターは、同委員会において他の研究機関とともに温室効果ガス削減の経済社会への影響分析を行った。分析は応用一般均衡モデル(CGE モデル)とマクロ計量モデルという2 つのアプローチで行ったが、このうちCGE モデルによる分析の概要は以下の通りである。
 まず、データとしては2000 年産業連関表をベースとし、モデルには41部門・41財、2000年-2020年をタイムスパンとする日本経済の逐次動学モデルを利用した。シナリオとしては、エネルギー起源CO2 の排出量により2020年時点で90年比▲5%、同▲13%、同▲23%削減するという3 つのシナリオを想定し、排出量取引(キャップ・アンド・トレード)の導入によりこの削減目標を達成した場合、経済にどのような影響が生じるかを分析した。主要な結果は以下の通りである。まず、▲5%のケースでは、2020年時点で限界削減費用は約15,000円(CO2、1 トン当たり)、2020年時点のGDPはBAU(Business As Usual,自然体ケース)比0.6%の減少となった。同様に、▲13%のケースでは、限界削減費用は約34,000円、GDPは1.4%の減少、▲23%のケースで、限界削減費用は約82,000円、GDPは3.2%の減少という結果が導かれた。分析内容については、中期目標検討委員会が提供している資料においても説明しているが、時間、スペースの都合から、分析の概要しか提示できなかった。そこで、本稿では日本経済研究センターのCGE分析におけるモデル、データ、シナリオ、結果について詳細な解説を行うこととした。

キーワード:日本の温暖化対策、応用一般均衡分析、温室効果ガス削減の中期目標