1台50万円台からという安さが受け、中国のEV市場で最も売れている宏光MINI EV(以下MINI)のコスト構造が明らかになった。実物(最上位モデル)を分解・調査した名古屋大学パワーエレクトロニクス研究室の山本真義教授らが合計48万円と推定した。部品レベルまで分解したことで、ブレーキの簡素化や既存部品の使い回しなど、航続距離や製品寿命を犠牲にするまで割り切った設計思想が浮かび上がった。
【ポイント】
- 中国の格安電気自動車(EV)として話題を呼んでいる「宏光MINI EV」のコスト構造が明らかになった。最上位モデルで推定48万円と、日本製の軽自動車の数分の一の水準を実現している。
- この車種はリチウムイオン電池など主な部品で中国製を積極採用しているだけでなく、①回生ブレーキなどEVで常識とされる機構を省く②ベアリング、半導体などの基幹部品に専用品ではなく既存・標準品を使う――といった割り切りの仕様とすることで、費用対効果の高いEVに仕上がっている。
- 中国の地方都市・農村が主な市場である宏光MINI EVが日本製EVと直接競合することはない。しかし、①日本製部品の搭載が無い②中国以外での需要の広がり――などの側面で、日本のEV産業も注視すべきだ。
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