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金融研究

保有資産長期化で日銀の出口、遠のくおそれも

主査:左三川(笛田) 郁子
  金融研究室長兼主任研究員
総括:梶田 脩斗
  副主任研究員

2022/02/14

《ポイント》

  • 日本銀行は14日午前、2018年7月以来、3年半ぶりに指し値オペを実施した。10年物長期金利が許容変動幅の上限である0.25%に接近したため。日銀が同オペを実施するのは8回目(オペの種類別には9本目)だが、今回は連休前の10日に事前予告していたこともあり、週明けの債券相場では長期金利の上昇が一服した。この結果、金融機関による応札はなかった。
  • 日銀は16年9月に、金融市場調節の目標を「量」から「金利」に切り替え、長短金利を操作している(イールドカーブ・コントロール)。これにより、長期国債の買い入れを事実上減らすことに成功していたが、今後の長期金利の動向によっては、買い入れ減速にブレーキがかかる可能性がある。
  • これまでの指し値オペでは9本中6本で応札がなかった。日銀は長期国債の買い入れを増やすことなく、長期金利の上昇を抑えることに成功している。だが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始が迫るなど、長期金利には上昇圧力もかかっている。長期国債の買い入れを増やすことになれば、日銀が保有する長期国債の残存期間も長くなり、バランスシート正常化は遠のくことになる。

 

10年物国債の利回り

(資料)Bloomberg