潜在力トップ3はNY、テルアビブ、ボストン
―企業数でNYが北京抜きシリコンバレーに迫る
2022/02/17
イノベーションの担い手としてスタートアップが注目され、中でも評価額10億ドル以上の未上場企業であるユニコーン企業数は国の競争力を示す指標としても重要視され始めている 。ユニコーンを輩出する場所は米国のベイエリアを筆頭に世界に偏在しており、日本でもスタートアップを輩出する都市の形成が国策として推進されている 。
シリーズ企画「2022年、注目のユニコーン都市」ではユニコーンを数多く生み出している都市に注目し、ユニコーンを輩出する勢いや今後も輩出するであろう「潜在力」を評価した。ユニコーンが本社を置く世界130都市についてユニコーン数でランキングを作成し、コロナ禍前と比べた順位やシェアの変動を調べた。その上位20都市について、コロナ禍中に新たにユニコーンとなった企業の割合や、ユニコーンに昇格する可能性が高い「予備軍」の比率などを算出し、潜在力ランキングを作成した。また潜在力の高い都市のスタートアップ生態系について、ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家とスタートアップの関係性をネットワーク・グラフで表現し、産業集積の特徴や注目すべきスタートアップを分析・特定した。
【ポイント】
- ユニコーン(評価額10億ドル以上の未公開企業)の多い世界の都市を調べたところ、2021年のトップ3はサンフランシスコ、シリコンバレー、ニューヨークで、北京、上海、ロサンゼルス、ボストン、ロンドン、深圳、バンガロールが続いた。ニューヨークはコロナ禍前に3位だった北京を抜いて浮上し、2位のシリコンバレーに迫る。
- ユニコーン都市トップ20について、ユニコーンを輩出する「潜在力」を算出したところ、トップ3はニューヨーク、テルアビブ、ボストンで、ベルリン、ロサンゼルス、サンディエゴ、ロンドン、シリコンバレー、シアトル、シンガポールが続いた。
- 潜在力は、コロナ禍中にユニコーン・リスト入りしたスタートアップの割合(新規率)、コロナ禍中にリストから抜けたユニコーンの割合(卒業率)、評価額10億ドル未満で将来のユニコーン候補の割合(予備軍率)の3つで評価した。
シリーズ企画「ユニコーン新潮流」
・【1】ユニコーン800社超え、デカコーンも倍増
・【2】「その他」の台頭、フィンテックが牽引
・【3】テック弾圧下の中国、半導体にシフト
・【4】テックブームの米国、ソフト系が席捲
第6回アジア経済中期予測 「コロナ禍のアジア、浮上するのはどこか」
第5回アジア経済中期予測 「米中対立下のデジタル・アジア――イノベーションと都市の行方」
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