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金融研究

脱炭素目標の達成、CO2回収技術への投融資がカギ―グリーンファイナンス市場は1,000兆円も、地銀の商機に―

2021年度金融研究班報告④:気候変動と金融

総括:梶田 脩斗
  副主任研究員
研究生:間場 紗壽、埋橋 尚吾、手塚 昂嗣
   
<監修>主査:左三川(笛田) 郁子
  金融研究室長兼主任研究員

2022/03/22

2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル目標を達成するには多額の投資が必要となる。本リポートでは、日本の2050年の目標達成に必要な投融資額について論点を整理し、カーボンバジェット(炭素予算)にもとづき必要な資金の規模を試算した。試算の結果、CO2削減の技術革新が大きく進んだとしても、CO2回収技術への投融資なしには目標が達成できないことがわかった。
また、日本のグリーンファイナンスの現状と先行きについて、債券と銀行融資に焦点を当てる。債券では、グリーンボンドの発行時の利回りが非グリーンボンドに比べて低くなる「グリーニアム」と呼ばれる現象が日本でも確認された。グリーン関連の融資では、メガバンク3行の取り組みが先行しているが、CO2排出量が多い「ブラウン産業」向けの貸出金は地方銀行がもっとも大きく、目標達成には地方銀行の取り組み強化が欠かせない。地銀にとっては新たな収益機会ともなろう。


脱炭素に必要な投融資総額はCO2回収技術の発展度合いで大きく異なる