中国で大学生が理想の仕事を見つけられない就職難に苦しんでいる。進学率の向上で2022年の卒業予定者数は過去最多となる見通しだが、大量の学生が社会に出て職を求める一方、経済の成長スピードが減速し、企業の採用意欲は盛り上がらないためだ。習近平政権による強権政治のあおりで、新卒者の受け皿だった不動産業者や学習塾など一部の民間企業が経営不振にあえいでいることも影響している。就職難は失業者の増大につながり、指導部が最も恐れる社会の不安定要因ともなりかねない。
【ポイント】
- 中国で大学生の就職難が問題となってきた。4月19日、管轄の教育省は全国会議で危機感を露わにし、大学当局に学生支援を強化するよう指示を出した。
- 2022年は大学の卒業予定者が過去最多となる見込みであるうえ、海外から帰国する留学組も例年以上に多い。経済の減速で企業の採用意欲は盛り上がらず、これらが就職難を招いている。
- 経済の一段の減速は就職難による失業の増大と社会不安をもたらす可能性がある。若者の間では無力感も漂い、就職を先延ばしする「スロー族」も増えている。
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