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Discussion Paper Discussion Paper 154 (2022.05)

[No.154] ESG Management and Credit Risk Premia: Evidence from Credit Default Swaps for Japan’s Major Companies

稲葉 圭一郎
  主任研究員 (短期経済予測主査)
畠山 雄史 三井住友DSアセットマネジメント(株)運用部 兼 責任投資推進室 シニアマネージャー
   

2022/05/30

クレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swap、以下CDS)市場において、わが国主要企業は、平均的にみて、ステークホルダーとの関係が信用リスクの軽減につながる経路が弱いと評価されている。この主張は、同主要企業の過去5年間におけるCDSプレミアムの決定要因を検証するパネル・データ分析に基づいている。G(ガバナンス)の面で高い格付を有することは小さいCDSプレミアムと連関していたことは理解しやすい。これとは対照的に、S(社会)の面で高い格付を有することは大きい同プレミアムと連関していた。Sへの配慮を選好する企業はCDS市場では消極的な評価を得ていたことになる。E(環境)の面での格付とCDSプレミアムの間には統計的に有意な関係はなかった。また、E格付とG格付の間でも、S格付とG格付の間でも、統計的に有意な相互作用はなかった。このことは、企業のSやEに配慮する活動が道徳資本や社会資本の拡充につながる方向で、Gの改善がなされていないことを示唆する。しかしながら、コロナ禍の期間に限っていうと、E格付とG格付の間、そしてS格付とG格付の間において、統計的に有意な相互作用が見出された。わが国主要企業のステークホルダー影響力(Stakeholder influence capacity)は過去においては不十分であったが、最近になって発展しつつあるようだ。

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