日本経済研究センターは7月13日(水)、海外の専門家を招いて東京都内で朝鮮半島問題に関する国際会議を開いた。金東吉・北京大学教授が「尹錫悦(ユン・ソンニョル)執権以降の中国と朝鮮半島の関係」、韓国の朴鐘喆・慶尚国立大学教授が「北朝鮮懸案と中朝協力の強化 」、鄭恩伊・統一研究院研究員が「金融の観点からみた北朝鮮の携帯電話における『電話マネー』」と題してそれぞれ報告し、参加者と意見交換した。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展が台湾海峡と並ぶ東アジアの地政学的リスクになっているが、その背後にある朝鮮半島をめぐる国際関係の変化や北朝鮮の経済社会の動向にも注目する必要がある。報告の要旨は以下の通り。
【第32回のポイント】
① 朝鮮半島で日米韓vs.中ロ朝の「新冷戦構造」が出現する懸念が浮上しているが、「近いうちにこのような状況が朝鮮半島に出現する可能性はそれほど高くない」との見方もある。
② 北朝鮮の核実験の兆候と新型コロナ拡散について様々な情報があるが、経済は米、ガソリンなどの物価が一時的に上昇したものの現在は安定傾向。米中の戦略競争とウクライナ危機の中で、中朝と中ロ朝の「密着」が見られ、戦略的コミュニケーションが強化されている。
③ 北朝鮮の金融は近年、キャッシュレス化が徐々に進んでいる。プリペイドの電子決済カードとともに広がっているのが「チョナトン」と呼ばれる「電話マネー」による決済。通話時間が貨幣に換算され少額決済や少額送金、貸出しなどに活用されているという。
① 朝鮮半島で日米韓vs.中ロ朝の「新冷戦構造」が出現する懸念が浮上しているが、「近いうちにこのような状況が朝鮮半島に出現する可能性はそれほど高くない」との見方もある。
② 北朝鮮の核実験の兆候と新型コロナ拡散について様々な情報があるが、経済は米、ガソリンなどの物価が一時的に上昇したものの現在は安定傾向。米中の戦略競争とウクライナ危機の中で、中朝と中ロ朝の「密着」が見られ、戦略的コミュニケーションが強化されている。
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2021年度アジア研究報告書「朝鮮半島の地経学」(22年5月)
『朝鮮半島の地経学』(22年6月)
※旧サイト(~2018.8月)の中国・アジア研究、アジア予測、コラムなどの一覧はこちらから
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