世界中で食料価格が上昇しインフレ加速が懸念される中、食糧関連スタートアップへの関心が高まっている。ゲノム編集技術やビッグデータ解析を使って農産物の収量向上を図る企業などが直近で多額の資金調達に成功している。コロナ禍下では都市封鎖で外出制限が課される中、消費者に食事や食品を届けるフード・デリバリー・サービスが注目されたが、最近は需要が減少し、業界再編モードに移行しつつある。今後は食品の流通といった川下から、生産などの川上に投資がシフトする可能性が高く、植物由来の食肉代替食品の開発や、都市で農産物栽培を可能とする土地集約的な「垂直農業」への取り組みが注目される。
【ポイント】
- 世界中で食料価格が上昇しインフレの加速が懸念される中、食糧関連スタートアップへの関心が高まっている。ゲノム編集技術やビッグデータ解析を使って農産物の収量向上を図る米イナリ・アグリカルチャーや、化学肥料を代替する微生物肥料の普及に取り組むピボット・バイオなどがこの1年余りで多額の資金を集めている。
- コロナ禍下では都市封鎖で外出制限が課される中、消費者に食事や食品を届けるフード・デリバリー・サービスが注目され、食糧系の中でも圧倒的な資金を集めた。コロナ禍が収束する中、業界は再編モードに移行しつつある。
- 今後は食品流通から生産など川上に投資がシフトする可能性がある。植物由来の食肉代替食品を開発し、地球温暖化の大きな要因とされる畜産業を農業に置き換える取り組みが注目される。消費地である都市で農産物栽培を実現する土地集約的な「垂直農業」への投資も相次いでいる。
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