北朝鮮は9月8日の最高人民会議で核兵器使用の法整備を行い、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「絶対に核を放棄できない」と表明した。日本経済研究センターが同月10日に開いた研究会で、韓国の北朝鮮研究の泰斗である康仁徳(カン・インドク)元統一相は北朝鮮の強硬姿勢の裏には対外関係と内政上の要因があると報告。北朝鮮の経済の状況は一段と悪化しており、外交と経済の苦境を打開するため中国やロシアとの関係を強化する可能性を指摘した。報告の要旨は以下の通り。
【第33回のポイント】
① 北朝鮮が核武力強化に動いた要因として、南北関係や米朝関係をはじめとする対外関係の行き詰まりと、経済難の深まりや思想の揺らぎといった内政上の困難が挙げられる。
② 金正恩政権は核武力強化で政権の求心力を維持する一方、中国やロシアとの関係強化を模索し、新型コロナウイルス対策のワクチン、食糧、石油、武器取引、労働者派遣など幅広い分野の協力について話し合っている模様だ。ウクライナ危機を契機とする国際情勢の変化が北朝鮮の生存戦略に及ぼす影響を注視する必要がある。
③ 韓国の北朝鮮政策は当面、朝鮮半島の非核化や統一より抑止力強化に力点を置く必要がある。米国による核の傘の信頼性向上に向けた取り組みや心理戦などの非対称の対抗策を強化する必要があり、日本との関係改善も欠かせない。
① 北朝鮮が核武力強化に動いた要因として、南北関係や米朝関係をはじめとする対外関係の行き詰まりと、経済難の深まりや思想の揺らぎといった内政上の困難が挙げられる。
② 金正恩政権は核武力強化で政権の求心力を維持する一方、中国やロシアとの関係強化を模索し、新型コロナウイルス対策のワクチン、食糧、石油、武器取引、労働者派遣など幅広い分野の協力について話し合っている模様だ。ウクライナ危機を契機とする国際情勢の変化が北朝鮮の生存戦略に及ぼす影響を注視する必要がある。
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『朝鮮半島の地経学』(22年6月)
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