中国が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策の全面緩和に乗り出す見通しとなった。国内ではすでに移動制限がほぼ撤廃されたが、海外渡航者の入国制限も、早ければ年明けから事実上無くなる情勢だ。コロナ前は世界の観光業を支えてきた中国人観光客が動き出せば、日本や周辺国をはじめ、世界全体に大きな恩恵をもたらすだろう。ただ、中国国内では感染者の急増とそれに伴う社会の混乱が続いており、ただちに観光需要が盛り上がるかは流動的。受け入れ側は改めて水際対策を練り直す必要もありそうだ。
【ポイント】
- 中国でゼロコロナ政策がほぼ全面解除される見通しとなった。現地での報道によれば、1月には海外からの入国者の隔離措置が大幅に緩和され、原則、海外渡航が自由となりそうだ。
- 国民の激しい反発から、当局はここに来てゼロコロナ政策の大幅な緩和に乗り出していた。長期間の行動制限は中国経済を著しく痛めており、180度の政策転換は避けられない状況にあった。
- 中国からの海外渡航が自由になれば、日本をはじめ周辺国への影響は計り知れない。東南アジアなども観光客の増加に期待を寄せているが、中国では長く消費が停滞しており、すぐに海外旅行に火が付くかどうかは不透明だ。
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