中国では3月5日から北京市で、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開催される。会議の焦点の1つは低迷する経済の対策づくりにある。習近平政権にとって、2023年は経済のV字回復が至上命題。政策を総動員して景気をてこ入れする構えだ。習氏の意向を先取りする形で、各地の地方政府はすでに様々な景気刺激策を打ち出している。多くは中小企業の振興や消費支援は柱で、改めて外資導入に強い期待を寄せる地方も少なくない。ただ、各地ともコロナ禍で財政が傷んでおり、自力での景気刺激には自ずと限界がある。
【ポイント】
- 中国で3月に開催される全人代では、2023年の経済成長率を「5.5%」などとする目標が示される見通しだ。コロナ禍で低迷した経済の回復は3期目に入った習近平政権にとって最優先の課題となる。
- 習政権に呼応して、地方政府も様々な景気刺激策を用意する。中小企業支援や消費振興などがその柱で、各地とも対策に基づき、昨年実績を上回る成長目標を掲げている。ベースとなる財政支出も成長率並みの伸びを見込んでいる。
- ただ、財政収入を増やすのは容易ではなく、多くは財源不足に悩むことになりそうだ。習政権も地方の債務問題を危険視する。各地で安易な成長率競争が繰り広げられれば、中国経済はかえって大きなリスクに直面するだろう。
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