中国の5月の経済統計は、内外需ともに振るわず昨年のロックダウンの反動が薄れたこともあり、精彩を欠くものが目立った。経済成長のけん引役だった輸出は世界経済の低迷の影響から3カ月ぶりに前年実績を割り、輸出比率が高い民営企業の生産も低調、投資はマイナスに転落した。受注が不調なため、製造業の景況感は一段と悪化した。
政府の公共投資の伸びは前月に比べて鈍っており、息切れが懸念される。地方経済の再生のカギを握る不動産業は投資の減速が続き、住宅価格も上昇傾向が鈍ってきた。景気回復の足取りが重いことから雇用環境は好転せず、全国平均の調査失業率は前月と同じ5.2%と高水準のまま。そのうち16~24歳は20.8%と0.4ポイント悪化している。
政府は15日、銀行向けの短期金利を下げるなど金融緩和に動いているが効果は限定的だ。本格的な景気刺激策がいつ出されるのか、それとも出ないのか。政府の対応が注目される。
概要
- 固定資産投資と不動産開発 :投資の減速続く、民営企業はマイナス
- 輸出入 :輸出が3カ月ぶりマイナス
- 工業生産 :伸び率が再び鈍化、コロナ反動も薄れ
- PMI :景況感、一段と悪化
- 社会消費品小売総額 :消費の2ケタ増続く~飲食が好調
- 消費者・卸売物価指数 :内需弱く低水位の動き続く
- 新車販売台数 :27.9%増、伸び率は前月から鈍化
- 新築住宅販売動向 :回復傾向が鈍化
☆トピックス :3月の外資系企業登録、44%増と好調
:2022年の結婚件数、過去最低を更新~少子化に拍車
☆主要経済統計 :バックデータ
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