中国経済が冴えない。直近の5月の主要な統計は市場予想を下回るものばかりで、景気回復の足音は中々、高まらない。内需が盛り上がらず、不動産業界の再建も遅々として進まない。若年層の失業率が過去最高を更新するなど、状況はむしろ一部で悪化する傾向もみられる。人民銀行(中央銀行)はこのほど10カ月ぶりの利下げに踏み切ったが、共産党・政府の対策は後手に回っている感は否めない。「控えめ」とされた「年5%前後の成長」という政府目標を達成できるかどうか、どうやら怪しくなってきたようだ。
【ポイント】
- 中国経済の回復力が力強さを欠いている。5月の統計は市場予想を下回るものばかりで、海外のシンクタンクは今年の成長率見通しを相次ぎ引き下げ始めた。
- 指導部も事態を重視し、人民銀行は利下げに動いたが、効果は限定的とみられる。産業界などからは大型の景気対策を求める声が上がるが、財政難がネックとなっており、政府のかじ取りは難しい。
- 経済の低迷は雇用環境の悪化を招いている。特に若年層の失業率は高く、それが社会不安につながることが当面のチャイナ・リスクとして懸念される。
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