中国で地場資本による民族系ブランドが乗用車市場を席捲している。1~5月の販売台数では初めてシェアが50%を上回り、これまで市場を席捲してきた外資系ブランドを凌駕するようになった。成長著しい電気自動車(EV)など新エネルギー車を手掛けるメーカーが攻勢をかけているためで、対応が遅れる外資は販売を大きく落としている。一部の企業は従業員を解雇するなど経営規模を縮小する一方、外資に見切りをつけた技術者が民族系に流れ、中国側に技術が漏洩するリスクも高まっている。
【ポイント】
- 中国の乗用車市場で外資系優位が崩れ、民族系ブランドのシェアが50%を超えた。原動力は消費者の人気が高い電気自動車(EV)。比亜迪(BYD)などEV大手が大きく販売台数を伸ばし、外資系を凌駕するようになっている。
- 事業構造の転換が遅れる外資系の中には、工場閉鎖や従業員の削減などリストラに追い込まれる企業が出ている。優秀な技術者が民族系に流れる動きもあり、技術漏洩が懸念される。
- 自動車業界における自国メーカーの育成は中国政府の長年の悲願だ。民族系は着実に実力をつけており、その競争力を軽視していると、外資系優位の時代は2度と戻って来ないかもしれない。
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