7月の中国経済は主要統計が軒並み振るわなかった。輸出は前年同月比14.5%減の2817億ドルと、3カ月連続のマイナスを記録。内需も盛り上がらず、社会消費品小売総額(名目ベース)は同2.5%増と前月に続き急減速したほか、固定資産投資も3.4%増と、5カ月連続で前月の伸び率を下回った。特に経済回復のカギを握る不動産関連の投資はマイナス8.5%と5カ月連続で減少幅が拡大しており、一向に明るさが見られない。内需不振の長期化で消費者物価指数(CPI) の変化率は前年同月比0.3%の下落となり、デフレ懸念が強まってきた。景気の減速が鮮明になった形で、企業が雇用に慎重なことから、全国都市部の調査失業率は5.3%と前月から0.1ポイント上昇、特に若年層の失業は一段と深刻になった模様だ。 共産党・政府は7月下旬に景気テコ入れの必要性を示し、自動車や住宅などの購入支援策を拡大する方針を固めた。15日には中国人民銀行が市中銀行向けの短期金利を下げるなど金融緩和策も進めている。ただ、一連の施策がどこまで実態経済に影響するかは不透明で、今後、一段の財政政策などが必要となりそうだ。
概要
- 固定資産投資と不動産開発 :投資の減速続く、民営企業はマイナス
- 輸出入 :輸出が3カ月連続のマイナス
- 工業生産 :伸び率が鈍化、外資系はマイナス
- PMI :4カ月連続の50割れ
- 社会消費品小売総額 :消費の急減速続く~モノ販売は1%増
- 消費者・卸売物価指数 :CPI、2年5カ月ぶりのマイナス
- 新車販売台数 :6カ月ぶりのマイナス、1.4%減に
☆トピックス :4~6月の成長率 香港は減速、台湾はプラスに転換
☆主要経済統計 :バックデータ
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