北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記とロシアのプーチン大統領が会談し、軍事、経済などについて幅広く協議した。ロシアがウクライナ侵攻を続ける一方、北朝鮮は核・ミサイル開発に邁進しており、両国の協力拡大はウクライナ戦争だけでなく、北東アジアの地域情勢にも多大な影響を与える可能性がある。ロシアに接近した北朝鮮の経済実態について、韓国で最近発表された報告書などをもとに2回に分けて分析する。
【第37回のポイント】
① ロ朝首脳は軍事、経済などについて幅広く協議し、両者の蜜月ぶりをアピールした。敵対する米国などを強くけん制する一方、両国が一層の協力を期待する友好国の中国も意識した外交だ。
② 北朝鮮の対外貿易は昨年、増加に転じたものの、経済制裁や新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、10年前の4分の1以下にとどまった。エネルギーや機械類の輸入制約が、工業生産回復のネックとなる状況が続いている。貿易赤字の構造も変わっていない。
③ 北朝鮮は国境の封鎖措置を緩和し、最大のシェアを占める中国との貿易は今年上半期に新型コロナ禍前のレベルに回復した。9割を越す中国依存度は極限に近い状態だ。ロシアとハイレベルの協議を続ける計画で、関係強化の行方とその影響が注目される。
① ロ朝首脳は軍事、経済などについて幅広く協議し、両者の蜜月ぶりをアピールした。敵対する米国などを強くけん制する一方、両国が一層の協力を期待する友好国の中国も意識した外交だ。
② 北朝鮮の対外貿易は昨年、増加に転じたものの、経済制裁や新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、10年前の4分の1以下にとどまった。エネルギーや機械類の輸入制約が、工業生産回復のネックとなる状況が続いている。貿易赤字の構造も変わっていない。
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2022年度アジア研究報告書『ポスト「冷戦後」の韓国・北朝鮮経済』(23年5月)
書籍『ポスト「冷戦後」の韓国・北朝鮮経済』(23年6月)
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