ロ朝首脳会談の波紋が広がっている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記がプーチン大統領との会談後に相次いで訪問したのはロシア極東地域の軍事関連施設だった。国連制裁などの影響で経済難が続く北朝鮮は軍需産業の強化に力を入れており、ロシアの支援を受けながら経済分野でも軍需優先の姿勢を強める可能性が指摘されている。前回に続き、ロシアに接近した北朝鮮の経済実態について、韓国の報告書などをもとに分析する。
【第38回のポイント】
① 5泊6日に及んだ金正恩総書記のロシア訪問は日程の多くが軍事関連施設の視察にあてられ、北朝鮮の軍事優先姿勢が改めて鮮明になった。金正恩総書記は国内でも軍需工場視察を繰り返し、兵器の増産を指示している。
② 北朝鮮の経済は昨年、3年連続のマイナス成長となった模様だ。経済制裁や新型コロナウイルス感染症の影響でエネルギーや物資が不足し、重工業などの製造業の不振が顕著だった。
③ 北朝鮮は「第2経済」といわれる軍需経済のテコ入れで軍事力の増強と経済活動の維持・活性化を画策しているとの見方がある。ロシアとの関係強化はその一環だが、ロ朝の軍事協力にはハードルも多い。中国の出方などを含め、今後の動向を注視すべきだ。
① 5泊6日に及んだ金正恩総書記のロシア訪問は日程の多くが軍事関連施設の視察にあてられ、北朝鮮の軍事優先姿勢が改めて鮮明になった。金正恩総書記は国内でも軍需工場視察を繰り返し、兵器の増産を指示している。
② 北朝鮮の経済は昨年、3年連続のマイナス成長となった模様だ。経済制裁や新型コロナウイルス感染症の影響でエネルギーや物資が不足し、重工業などの製造業の不振が顕著だった。
③ 北朝鮮は「第2経済」といわれる軍需経済のテコ入れで軍事力の増強と経済活動の維持・活性化を画策しているとの見方がある。ロシアとの関係強化はその一環だが、ロ朝の軍事協力にはハードルも多い。中国の出方などを含め、今後の動向を注視すべきだ。
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