10月の中国経済は全体として冴えない動きとなった。持ち直しが期待された輸出はマイナス幅が拡大したほか、投資も上向く様子がない。特に景気回復のカギを握る不動産関連の投資はマイナス9.3%と、8カ月連続で減少幅が拡大した。工業生産もほぼ横ばいの状況にあり、明るさを取り戻しつつあった製造業の景況感は再び悪化している。
明るい材料は前月に続いて消費が伸びたこと。前年のコロナ規制の反動もあって、国慶節に伴う大型連休などで飲食を中心に社会消費品小売総額が増加した。新車販売も電気自動車が好調で、産業界をけん引している。
明るさと暗さが入り交じり、景気回復は一進一退の状況にある。政府は10月下旬に1兆元の特別国債の発行を決めており、11月以降はインフラ投資などの積み増しが期待される。一進一退から本格回復へと脱皮できるか。11月の統計に注目したい。
概要
- 固定資産投資と不動産開発 :投資の減速続く、不動産の減少幅拡大
- 輸出入 :輸出が6カ月連続のマイナス
- 工業生産 :伸び率は横ばい、外資系は不振続く
- PMI :景況感が悪化、再び50割れ
- 社会消費品小売総額 :消費の上昇続く~連休で飲食が伸び
- 消費者・卸売物価指数 :CPI、3カ月ぶりに下落く
- 新車販売台数 :3カ月連続のプラス、13.8%増
- 2023/11/15
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景気回復、一進一退 景況感が再び悪化
- 2023/10/18
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7~9月成長率は4.9%、消費回復が寄与
- 2023/09/15
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住宅価格の下落止まらず、輸出のマイナス続く
- 2023/08/15
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景気減速、鮮明に 輸出・消費・投資とも振るわず
- 2023/07/18
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4~6月成長率は6.3%にとどまる
☆トピックス :中国の地方政府、1~9月の成長率で大きな格差
香港、台湾の7~9月成長率、いずれも上向く
☆主要経済統計 :バックデータ
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