一覧へ戻る
経済百葉箱 第119号

ユーロ圏改革は道半ば

―なお残る危機の芽、独仏連携が進展のカギ―

本田幸久、<監修>短期経済予測主査:佐々木 仁、総括:宮崎孝史
   

2018/06/15

▼ポイント▼
●2018年3月、ドイツで第4次メルケル政権が発足し、ユーロ圏の経済危機への耐性を高めるための制度改革をめぐる議論が再び動き出した。
●2010~12年に猛威を振るったユーロ危機の根本的原因は、共通通貨の導入によって、ユーロに加盟する各国が金融政策や為替変動という国内経済の調整手段を失い、域内の経済格差が固定化したことが指摘される。さらに財政の自己責任原則のような硬直的なルールのために危機への対応が遅れ、傷口を深くした。
●ユーロ危機への対応を通じて多方面の制度改正がなされた結果、危機発生前に比べて、欧州の危機耐性は向上した。しかし域内の経済格差は未解消のままであり、危機の芽はなお残る。制度面でも、共通預金保険制度のように積み残しの課題が数多く、改革は道半ばである。
●ユーロ圏改革には域内の2大国であるドイツとフランスの歩み寄りが欠かせない。マクロン大統領による仏国内の経済改革の進捗が、独仏連携の成否を大きく左右しそうだ。

■経済百葉箱 番外編 2018 (2018/7/3 発表)
「経済百葉箱」は当センター経済予測班による分析リポートです。このうち「番外編」は、新年度から研修を開始した企業・団体からの派遣研究生が、「第一弾」としてまとめたリポートです。 第174回改訂短期経済予測(SA174R、2018年6月8日公表)、第44回中期経済予測(2018年3月23日公表)を踏まえ、3班に分かれて、異なるシナリオを描きました。 短期担当の2班は、米国とその他主要国との貿易戦争を起点とした「景気低迷シナリオ」と、中国経済の「量」から「質」へのシフトが周辺国経済に好影響をもたらす「好景気シナリオ」を示しました。中期担当の班は、無形資産の活用による成長シナリオを示しました。

詳細はこちら
短期予測①「外需」を失い、日本経済は失速へ―米国発の貿易戦争が深刻化―
短期予測②アジアの成長を取り込む日本経済―中国経済の「量から質への変革」に勝機―
中期予測①無形資産拡充で生産性向上へ―中小企業を導く2つのチカラ―


■経済百葉箱とは
日本経済研究センター経済予測班では、経済予測・分析の中で見えたトピックスに焦点を絞ったリポート、「経済百葉箱」を掲載しています。経済はしばしば気象にたとえられますが、「百葉箱」はご存知のように、気温や湿度を正確に測定するための箱であり、「観測」の原点となる存在です。本リポートは随時掲載します。

バックナンバー

2020/06/11

貯蓄率上昇、19年ぶりの高水準に

圓花弘樹、山口修平 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一 総括:田中顕

2020/05/27

気候変動対策は金融分野に拡大

嵯峨元成、佐藤洋介 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一 総括:梶田脩斗

2020/04/09

インバウンド需要蒸発、20年度は9割減

圓花弘樹、黄盛凱、山口修平 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一 総括:田中顕

2020/04/07

ウイルス終息後は情報化投資で活路を

黄盛凱、白須光樹、野口翔平 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一 総括:田中顕

2020/04/01

中国、異例のマイナス成長へ

増田裕介、若杉達也、梶田脩斗 <監修>短期経済予測主査:西岡慎一