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中期経済予測(論点)

・原発の行方で異なる4つのシナリオ/石油危機に学び、省エネ余地を探る

2012年3月9日発表

日本経済研究センターは2011年3月11日の東日本大震災によって発生した福島第一原子力発電所の過酷事故への対応とエネルギー政策の見直しについて、この一年間、分析を進めてきました。事故発生から約1年間が経過するこの機会に、当センターが会員向けに提供してきた中期経済予測の内容の一部を一般向けに公表します。

中期予測の論点


原発の行方で異なる4つのシナリオ(U.エネルギーより)(12/03/09)

 福島第1原子力発電所の致命的な事故から復旧するには、どれぐらいの費用がかかるのか?政府が示している基本的な方針やデータをもとに推計した。原発を事故前の水準で維持する場合と新エネルギー(最も有力とされる風力や太陽光に限定)、火力発電による代替を図り、2050年ごろに脱原発を目指す場合などを比較した。いずれの場合も森林など汚染地域を100%除染すると今後40年間に150兆円前後(年平均で4兆円以上)の費用がかかる見通しで、電気料金に転嫁すると20%の価格上昇となる。脱原発を図る場合の新エネ比率は9%になる(水力を含むと17%)。原発事故からの復旧を新たな成長の源泉に転換する政策や企業活動なしでは、短期的にはともかく長期の経済成長に大きな重石になる。



※「原発の行方で異なる4つのシナリオ」は、磯部亮太(研究生・衆議院事務局から派遣)、主任研究員・小林辰男が中心に執筆。分析・検討には、澤大輔(全国共済農業協同組合連合会)、常峰健司(丸紅)、新美陽大(中部電力)、迫昭彦(日本郵船)、松木拓(八十二銀行)、副主任研究員・落合勝昭、研究員・服部哲也、舘祐太が参加した。

石油危機に学び、省エネ余地を探る(W.産業・業界予測より)(12/03/09)

 石油危機を契機に産業全体でエネルギー効率は改善し、省エネに成功した製造業は競争力を向上させて産業の構成比率を高めた。しかし90年以降、化石燃料価格の低下もあり、効率改善は停滞した。今後、70年代と同様の省エネが実現すれば、20年度までに約2割のエネルギー削減が可能だろう。エネルギー消費が少ない非製造業へのシフトが必要だが、非製造業の労働生産性は製造業に比べて低い。その低下を補うため、IT活用などで非製造業の生産性を高める努力が不可欠である。製造業はエネルギー効率、労働生産性ともに高い機械産業へのシフトが必要だ。



※「石油危機に学び、省エネ余地を探る」は、磯部亮太(研究生・衆議院事務局から派遣)、新美陽大(中部電力)、主任研究員・小林辰男、副主任研究員・落合勝昭、が中心に執筆。研究員・服部哲也、舘祐太が分析に参加した。


---参考:中期予測シリーズ---
◇第38回中期経済予測(2011−2020 年度)
エネルギー・国際分業、迫られる再構築−除染費用、国民に重い負担(2012/3/2発表)

◇中期経済予測(論点)
R&D投資は現地需要重視、今後はアジア向けで拡大(2012/2/7発表)

<中国のエネルギー問題>CO削減の国際公約、余裕ある目標(2012/1/6発表)

◇中期経済予測(論点を探る2011)
<サプライチェーン寸断 検証と教訓>自動車に影響集中、特注電子部品など制約に(2011/9/29発表)



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