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中期経済予測(論点)

経済成長と両立する賢い節電、電力不安の払拭に不可欠

― 家庭とオフィスの抑制がカギ、需要抑える政府計画策定を ―

2013年2月25日発表

斉藤 雄太・研究生(日本経済新聞社より派遣) 、吉本 徹・研究生(衆議院事務局より派遣) 、<監修>中期予測班主査:坪内 浩、主任研究員:小林 辰男

5〜10年先を考えるのが中期予測のミッション。今の延長線上に何があるのか、先行きを左右するポイントは何か、研究員がいくつかの角度から検討します。

中期予測の論点


経済成長と両立する賢い節電、電力不安の払拭に不可欠
― 家庭とオフィスの抑制がカギ、需要抑える政府計画策定を ―(斉藤 雄太・吉本 徹、<監修>坪内 浩、小林辰男)
(13/02/25)

 3.11後の日本経済は、電力不安という一朝一夕で解決しない難題を抱え込んだ。供給力の低下で電気代の上昇が見込まれるなか、経済活力を損なうことなく、この試練をいかに乗り越えるか。本稿では、原発再稼働の有無など供給面に比べて見落とされがちな需要面の抑制・管理という視点から、電力不安の解消策を考える。

<要旨>

 日本のエネルギー政策は、自民党の政権復帰によって、民主党政権が掲げた「原発稼働ゼロ」の方向から軌道修正されつつある。だが、原発の再稼働にはなお多くのハードルが待ち受ける。電力の供給不安が根強く残るなか、需要抑制の手綱を緩めるべきではない。政府は「2030年までに10%減」とする前政権の節電目標を堅持しつつ、経済成長と両立する道を目指すべきだ(図表1)。震災後は全国で節電行動が浸透している様子が窺え、今後見込まれる電力各社の値上げも電力消費を抑える要因になるが、節電の着実な進展にはさらに踏み込んだ措置が欠かせない。有効なのは「見える化」「変動料金」「自動化」を三本柱とした取り組みだ。まずは電力消費を「見える化」する次世代電力計(スマートメーター)の普及を加速する必要がある。電力需給に応じて変動する多様な料金体系や、スマートメーターと家電が情報をやり取りして自動的に節電するシステムの導入も急務となる。こうしたインフラの整備は、特に消費電力を減らす余地が大きい家庭やオフィスで強力に進め、節電の牽引役とするべきである。電力消費を抑える機器やサービスが普及して、巨大な「節電市場」が育てば、多くの企業にビジネスチャンスも生むだろう。足元の節電機運を萎ませないために、政府は主体ごとの目標値や行動を盛り込んだ「節電計画」を策定してはどうか。一時的な節電要請ではなく、無駄な電力は極力使わないという姿勢を国民に根付かせるような長期的な戦略こそ、電力不安の克服につながる。




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