第163回短期経済予測(2015年7-9月期〜2017年1-3月期)
2015年度の実質成長率見通しは1.1%へと下方修正
− 日本経済は足踏み状態、下ぶれリスクが増加 −

日本経済研究センターでは、最近の金融経済情勢および8月17日に内閣府が公表した2015年4-6月期のGDP速報(1次速報値)を踏まえ、従来の予測(以下、SA162R)を改訂し、「第163回四半期経済予測」(以下、SA163)を取りまとめた。
15年4-6月期の実質成長率は、事前のエコノミスト予想(ESPフォーキャスト8月調査平均。以下同じ:前期比年率−1.55%)が的中し、前期比−0.4%(前期比年率−1.6%)と3四半期ぶりのマイナスとなった。需要項目別にみると、内需では、在庫投資が2期連続で成長率を押し上げたほか、住宅投資も前期に続いて堅調な伸び率を確保したが、個人消費が1年ぶりに減少へと転化したほか、各種サーベイで積極的な計画が伝えられる設備投資も僅かながらマイナスとなった。他方、公需は、14年度補正予算の支出が本格化する中、公共投資が4-6月期はプラスに転化するなど、景気を下支えした。内需全体では、成長率に−0.1%のマイナス寄与。外需は、輸出が13年10-12月期以来1年半ぶりに減少し、成長率を−0.3%ポイント押し下げた。
以上、4-6月期の内外需は、GDP統計のヘッドライン以上に厳しい状況だ。今回、成長率の下支えに寄与した要因のうち、在庫投資、公需は来期以降には期待できない。そして個人消費、輸出の不振は、大方の予想を上回っている。日本経済の回復力は未だに弱く、下ぶれリスクが強まっている。SA163では、15年度、16年度の成長率予測を+1.1%、+1.6%へと改定した(SA162Rとの対比では15年度が下方修正、16年度は輸入の伸び率引き下げを主因に上方修正)。
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