混迷インド経済にようやく回復の兆し

2020.10.12|, ,

 インドにおける新型コロナウイルスの感染者は10月11日時点で累計705万人を超え、死者も10万8000人に達した。感染拡大にはいくぶん減少の兆しも出ているが、インド経済が平常運転に戻るにはなお長い時間がかかりそうだ。インド中銀(RBI)は10月上旬、2020年度(21年3月期)の経済成長率がマイナス9.5%に落ち込むという厳しい予測を発表している。それでも、ビジネス界では多くの明るい材料が出てき...

中国ボイコットに突き進むインドの危うさ

2020.07.05|,

 1962年10月、かねて国境をめぐる紛争が続いていたインド・中国両国の軍隊はカシミールの北端部ラダック地方やヒマラヤ山脈東部などで衝突、局地的ながら本格的な「戦争」へと突入した。結果は中国の勝利。「戦死者」は中国側の約720人に対しインド軍は1300人以上、1700人が行方不明、約4000人が捕虜になったとされる。中国軍はラダックの一部アクサイ・チンなどを占領すると開戦からわずか1カ月で一方的に...

28兆円コロナ対策は実を結ぶのか

2020.05.31|, ,

 インドにおける新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収束しない。5月31日朝までの24時間で新たに8380人の感染が確認された。これは1日としては過去最高で、累計感染者は18万人を、死者は5100人をそれぞれ突破した。4月に入ると新規感染者数は二次曲線を描いて増加、累計では2週間前のほぼ2倍、日々7000人以上のペースで増え続けている計算だ。モディ首相も「パンデミック(爆発的感染拡大)」という言...

適正分配だがインパクトに乏しい2020年度予算案

2020.02.07|,

 インドのニルマラ・シタラマン財務相は2月1日、国会で同国の2020年度(2020年4月~2021年3月)の予算案を発表した。歳出総額は30兆4223億ルピー(約46兆2400億円)で、前年度(修正後)比12.7%増。農業・食糧省関連予算は同28.1%の大幅増で1兆5477億ルピーとなったが、全体に占める割合は約5.1%。肥料や燃料、食料に対する補助金は2兆2779億ルピーで同7.5%を占めたが、...

「改正国籍法」で急浮上したインドの政治リスク

2020.01.21|,

 減速が鮮明となっているインド経済だが、回復はさらにもたつきそうだ。国営銀行を中心に積み上がった不良債権処理のあおりで大手銀行やノンバンクによる貸し渋りが鮮明となり、これが企業の設備投資や個人による自動車、住宅など大型商品購入の足を引っ張っている。さらに『農村の困窮』によって農民らの所得が伸び悩み、個人消費にも影を落とす。  インド中銀(RBI)は2019年2月から5回にわたって政策金利レポ・レ...

ゆらぐモディノミクス~インド経済、6年半ぶり低成長に

2019.12.23|,

 インド経済がほぼ6年半ぶりの低成長率に落ち込んでいる。2019年7-9月のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比4.5%と、6年半ぶりの低成長となり、前期(4-6月)の5.0%からもさらに減速した。このスランプの背景には、9億人近い人口を抱える農村の困窮(ルーラル・ディストレス)による消費の減退や、不良債権問題に直面する金融機関の貸し渋り、ノンバンクの経営危機などで個人や企業へと正常にカネが流れ...

雨不足、原油高、そしてノンバンク危機―第2次モディ政権に早くも試練

2019.07.09|,

 農村の困窮やラファール戦闘機調達疑惑など幾多の逆風をはねのけ、予想外の圧勝を飾ったモディ首相率いるインド人民党(BJP)政権は7月5日、2019年度本予算案を発表、農村や中小企業対策、ノンバンクの流動性危機などに直面する銀行への支援などを盛り込んだ。しかし、選挙前の2月に零細農家への直接所得補償や個人所得税の免税上限の引き上げなど、インパクトのある政策を並べた19年度暫定予算案に比べると中身はや...

逆風制した戦術と組織力~2019年インド総選挙でモディBJP圧勝

2019.05.27|,

 有権者約9億人。「世界最大の民主主義」を実践する5年に一度のインド総選挙が5月23日に開票され、強い指導力で経済改革「モディノミクス」を推進してきたナレンドラ・モディ首相の与党インド人民党(BJP)が再び圧勝して政権続投を決めた。ネール・ガンディー家4代目のラフル・ガンディー総裁率いる最大野党・国民会議派は、農村の困窮や伸びない雇用、フランス製戦闘機の調達をめぐる疑惑などで政権批判を展開したが有...

インド・モディ政権の経済改革

2019.01.22|,

「Asian Economic Policy Review(AEPR)とは アジア経済に関する諸問題を多角的に取り上げ、政策形成につながるメッセージを英文で世界に向けて発信します。年2回発行です。 出版社のAEPRページ(Wiley Online Library内)へはこちらから AEPRについてもっと詳しく知りたい方はこちらから 今号の概要  米中貿易戦争により中国経済が減...

雇用創出や「政治」の安定は不十分~ベテランビジネスマンがモディノミクスを辛口採点

2019.01.07|,

 P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)インディアのCEOなどを務めたベテランビジネスマンで、著名な作家としても知られるグルチャラン・ダス氏が、インド・モディ政権4年半の経済・産業政策を採点した。 ―――モディ政権の経済改革に対する総合評価は?  「Bプラス」といったところだろう。(独立以来の税制改革となった)GST(物品・サービス税、つまり全国共通の消費税)導入や、企業の...