日本経済研究センターは12月5日、日本経済新聞社とテレビ東京ホールディングスと恒例の「年末エコノミスト懇親会」を都内ホテルで開催した=写真。企業経営トップ、エコノミストら約330人が参加、安倍晋三首相、黒田東彦日本銀行総裁、小林喜光経済同友会代表幹事らが挨拶した。「年末エコノミスト懇親会」は今回で55回目。
安倍晋三首相はあいさつの中で、米中貿易摩擦に触れ、「来年もしっかり対応していく必要はあるが、国際経済の状況に左右されない強い経済を作っていきたい」と抱負を述べた。消費税の引き上げについては、「衝撃をしっかりと跳ね返すものを作っていきたい。財政政策もしっかりとやっていく」と語り、消費回復や経済の好循環につなげるため、「賃上げをしていただきたい」と経済界に協力を求めた。
山口那津男公明党代表は、消費税引き上げの壁を乗り越えるためには需要の平準化策が必要としたうえで、「2025年の大阪万博誘致は大変明るい話題だが、東京オリンピック・パラリンピックの後をどう凌ぐのかも考えていきたい」と述べた。
茂木敏光経済財政・経済再生相は、日本が抱える課題として、少子高齢化の問題、経済再生と財政再建、保護主義・通商主義の3つを取り上げ、「来年はしっかり成果が出せる年にしたい」と意気込みを語った。
経済団体を代表して、小林喜光経済同友会代表幹事は、19年6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に触れて、「世界の目が日本に向かってくる年になる。経済人としてどういう形でコミットできるのかが大きな課題。研究開発や投資も明確な戦略を持って戦っていかないといけない」と呼びかけた。
黒田東彦日本銀行総裁は「(今年は)全体としては比較的、経済はスムーズに動いてきたと思う」と評価。そのうえで、「来年は亥(イノシシ)の年、猪突(ちょとつ)猛進といくのかわからないが、内外のいろいろなリスクも見ながら目標に向かってしっかりと政策を運営していきたい」と抱負を述べた。
当日の模様は、日本経済新聞朝刊、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などの番組でも取り上げられた。