トップ » 経済予測 » 中期経済予測 » 第34回

第34回中期経済予測(2007−2020年度)

 選択と集中を迫られる日本経済
―日本の産業・地域経済の行方

2008年2月12日発表

主査:嶋田裕光・日本経済研究センター研究統括部主任研究員(中期経済予測担当主査)
総括:飯塚信夫・日本経済研究センター研究統括部担当部長兼主任研究員

産業・地域で成長格差拡大
 人口減少と高齢化、新興国の成長とキャッチアップという内外環境の変化にさらされる日本経済の2020年度までの姿について、産業、地域の各側面も考慮に入れて予測した。予測結果の主なポイントは以下の通りである。

@ 実質の経済成長率は2007年度から10年度まで2%弱で推移した後、20年度までおおむね1%台半ばとなる。成長の主役は、中国など新興国の高い成長を背景にした輸出。高齢化の進展から医療・介護など現物社会給付の増加が続き、政府最終消費支出も下支え役として働く。
A 名目ベースの成長率は1%台後半で推移、GDPデフレーター上昇率は2010年度ごろまではゼロ%近傍の動きが続き、予測期間末にようやく0.5%程度まで伸びが高まるにとどまる。
B 産業別の実質産出額は、加工組立型製造業とサービス業がシェアを高めていく。加工組立型製造業は輸出増の恩恵を大きく受け、サービス業はアウトソーシング化や高齢化の進展が追い風になる。
C 産業立地の傾向が予測期間も大きく変わらないという仮定を置くと、東京圏を含む関東地方がサービス業や金融業のシェアを高めながら高い成長を維持する。一方、名古屋圏を擁する中部地方では、加工組立型製造業を中心に輸出主導で成長する構造が続くとみられる。他の地方では、今後の成長産業の集積に遅れをとる結果、成長率でも所得水準でも水をあけられる。
D 仮に消費税率の引き上げや社会保険料負担のさらなる増加を織り込まない場合、一般政府のプライマリーバランスはもちろん、国+地方ベースのプライマリーバランスを回復させることすら困難になる。一般政府のプライマリーバランスを2011年度に黒字化させるためには、名目GDP比で2.8%、消費税率に直すと6%程度の(一部は保険料率の引上げでシェアすることも考えられる)規模におよぶ収支改善努力が必要と試算される。

 今後、一層限られてくる労働力や政策的財源を、産業や地域の中でも成長が期待できる部分に集中的に投下して非効率な支出を抑え生産性を向上させること、つまり「選択と集中」戦略を日本経済全体に当てはめることが持続的成長の鍵を握るといえる。例えば、高齢化を背景に、確実な需要増が見込める医療・介護関連サービスの生産性向上が急務といえよう。また、地方圏の活性化のためには、新たに観光客など交流人口の拡大を図る努力や、地方圏の中でも分散定住している人口を一部に集積させるという発想の転換が必要になってくるだろう。

※ 原則として1月11日までに利用可能であった情報に基づいて2007年11月30日に発表した予測値を改訂いたしました。

△このページのトップへ

主要経済指標主要経済指標

T章 2020年までの日本経済T章 2020年までの日本経済JCER NET メンバー限定

1.予測手法の概略
2.予測前提とリスク要因
3.経済成長の姿
4.産業構造の姿
5.地域経済の姿

U章 物価・金融 概要U章 物価・金融 概要

U章 物価・金融 全文U章 物価・金融 全文JCER NET メンバー限定

1.企業物価
2.消費者物価
3.デフレーター
4.為替レート・金利・株価

V章 世界経済、対外活動の動向 概要V章 世界経済、対外活動の動向 概要

V章 世界経済、対外活動の動向 全文V章 世界経済、対外活動の動向 全文JCER NET メンバー限定

1.米国経済
2.アジア・欧州、世界経済
3.輸出入・国際収支

W章 家計部門 概要W章 家計部門 概要

W章 家計部門 全文W章 家計部門 全文JCER NET メンバー限定

1.雇用・賃金
2.民間最終消費支出
3.民間住宅投資、地価

X章 産業・企業部門 概要X章 産業・企業部門 概要

X章 産業・企業部門 全文X章 産業・企業部門 全文JCER NET メンバー限定

1.企業収益
2.設備投資
3.農林水産業、鉱業
4.製造業
5.建設・不動産業
6.金融・保険業
7.卸売・小売業
8.運輸・通信業
9.電気・ガス・水道業
10.サービス業(産業)

Y章 財政・社会保障 概要Y章 財政・社会保障 概要

Y章 財政・社会保障 全文Y章 財政・社会保障 全文JCER NET メンバー限定

1.財政
2.社会保障

Z章 地域経済 概要Z章 地域経済 概要

Z章 地域経済 全文Z章 地域経済 全文JCER NET メンバー限定

1.地域格差の諸相(地域経済の基調判断)
2.地域経済の将来像
3.活性化に挑む自治体
4.地域経済の未来

結び 「選択と集中」戦略で日本経済に活路を結び 「選択と集中」戦略で日本経済に活路を

補論A マクロ予測と産業予測の「段階的接近」補論A マクロ予測と産業予測の「段階的接近」JCER NET メンバー限定

補論B 地域経済の予測手法補論B 地域経済の予測手法JCER NET メンバー限定

総括表・付表総括表・付表JCER NET メンバー限定

総括表
1.主要経済指標
2.名目国内総支出
3.実質国内総支出(2000暦年連鎖価格)
4.デフレーター
5.実質国内総支出の寄与度と内需の動き
6.制度部門別貯蓄投資バランス
7.労働力・賃金
8.産業別産出額
9.産業別就業者数、労働生産性
10.企業収益
11.地域別産出額
12.地域別一人当たり県内総生産
13.世界経済

付表
1.企業物価指数
2.消費者物価指数
3.為替・原油・金融
4.米国経済
5.国際収支(IMFベース)
6.家計(個人企業を含む)の所得支出勘定
7.家計の形態別・目的別消費支出(名目)
8.住宅着工戸数・地価
9.新設設備投資額
10.産業別実質産出額
11.産業別従業者数
12.産業別実質輸出額
13.産業別実質輸入額
14.一般政府の所得支出勘定
15.一般政府の部門別勘定
16.社会保障
17.主要商品とサービスの動向(1)
18.主要商品とサービスの動向(2)
19.主要商品とサービスの動向(3)

都道府県別成長率ランキング都道府県別成長率ランキングJCER NET メンバー限定

担当者一覧担当者一覧JCER NET メンバー限定

バックナンバーはこちら

△このページのトップへ