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第35回改訂中期経済予測(2008-2020年度)

 世界経済の構造調整と日本の行方

2009年1月15日発表

総括:飯塚信夫・日本経済研究センター研究統括部担当部長兼主任研究員

都道府県別予測を掲載しました(2009/4/9)

基礎的財政収支 2020年度まで黒字化ならず
 日本経済研究センターは、内閣府が2008年12月末に公表した「国民経済計算年報」、足元の世界と日本経済の急速な悪化などの新しい情報(注1)を織り込み、2008年12月3日に公表した『第35回中期経済予測』を改訂した。主な予測結果と改訂前との比較は以下の通りである(詳細は、「予測改訂の主な結果と要因<会員限定>」参照)。

(1)世界経済成長率は2009年に1970年以降で最低の0.8%、2010年も2.2%と2年連続で好不況の分かれ目となる3%と割った後回復するが、2010年代後半でも3.7%と4%台に届かない。改訂前では2010年代後半の平均成長率は4%であった。産油国を中心とした新興国・途上国の成長率の下方改訂が主因である。

(2)足元の景気の落ち込みが深く長くなると見込まれること、2010年代の外需の追い風が弱まることから、実質GDP成長率はほぼ予測期間を通じて下方修正した。具体的には、08年度▲1.1%(改訂前▲0.3%)、09年度▲1.8%(同▲0.7%)、10年度0.4%(同1.0%)、10年代前半平均1.7%(同1.9%)、10年代後半平均1.5%(同1.6%)である。

(3)足元で実質成長率が大幅マイナスとなるため、経済全体の需給バランスを示すGDPギャップのマイナス幅が拡大する。その後の回復も緩慢なためにプラスに転じるにはがかかる。このため、名目成長率が実質成長率を下回る名実逆転の解消、すなわちGDPデフレーター上昇率がプラスに転じる時期は2010年代後半にずれ込み、名目GDP成長率は2010年代後半でも平均1.8%にとどまる。改訂前は2010年代前半に名実逆転が解消、2010年代後半の名目成長率が2.1%であった。

(4)2012年4月に3ポイント、16年4月に2ポイントの消費税率引き上げという想定は改訂前と変更しなかった。ただし、これを織り込んでも、政府(中央+地方)のプライマリーバランス(基礎的財政収支)は予測期間末の2020年度でも名目GDP比で1.0%(6兆円)の赤字が残る。改訂前では、2010年代後半にプライマリーバランスがわずかに黒字になるという見通しであった。

 なお、今回の改訂予測は実質GDP成長率、物価上昇率ともに下方リスクがある。まず、世界経済成長率が好不況の分かれ目となる3%割れとなるのは、2009、2010年の2年限りという想定は改訂前と変えていない。しかし、データが利用可能な1970年以降でみると、第2次石油ショック後の1980年代初頭と1990年代初頭の2回、世界経済成長率は4年連続で3%割れとなっている。
 今回の改訂でも、刻一刻と経済情勢が悪化している米国経済の足元の状況を十分に織り込めていない可能性があり、下支え役として期待している中国経済の下振れもあいまって世界経済成長率の3%割れが長引く公算は小さくない。その場合、2010年代の日本の実質GDP成長率が一段と下方修正され、名実逆転の解消も遅れるため、プライマリー赤字は今回の改訂予測よりも拡大しよう(「世界成長率3%割れと日本経済<会員限定>」参照)。

(注1)原則として、09年1月8日までに利用可能であった情報に基づいて08年12月3日に発表した予測値を改訂した。


表 第35回改訂 新旧比較表


図 一般政府のプライマリーバランス(部門別)(名目GDP比)

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 更新履歴 
  • 2009/4/9 :  都道府県別予測を掲載(会員限定)
  • 2009/2/10:  報告書追加注文の受付開始。研究報告書申込フォームより承ります(会員限定、3,000円+税(送料別))。
  • 2009/1/29:  「付表」、「本文」、「参考資料」を掲載
  • 2009/1/19:  「予測改訂の主な結果と要因」、「総括表」を掲載
  • 2009/1/15:  第35回 改訂版 公表
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    予測の概要
    世界経済総論
    日本経済総論
    米国経済
    欧州経済(EU27)
    中国経済
    NIES、ASEAN5経済
    原油価格・資源国経済
    金利・為替
    労働供給
    財政
    社会保障
    企業収益
    設備投資
    家計部門(雇用・賃金、消費、住宅)
    物価
    国際収支、貯蓄投資バランス
    産業連関表

    参考資料

    予測改訂の主な結果と要因
    世界成長率3%割れと日本経済
    GDPギャップの推計について
    世界経済のグループの定義
    購買力平価の解説と世界GDP成長率の計算方法
    日本と経済面で関係が深い国はどこか?

    総 括 表

    1
    主要経済指標 
    2
    実質国内総支出 (2000暦年連鎖価格
    3
    実質国内総支出の寄与度と内外需の動き
    4
    名目国内総支出
    5
    デフレーター
    6
    世界経済総括表
    7
    米国経済
    8
    欧州経済(EU27)
    9
    中国・アジア経済
    10
    金融・為替・原油
    11
    物価
    12
    労働力・賃金
    13
    企業収益
    14
    住宅着工戸数

    付表


    1
    企業物価指数
    2
    消費者物価指数
    3
    家計(個人企業を含む)の所得支出勘定
    4
    家計の形態別・目的別消費支出(名目)
    5
    新設設備投資額・鉱工業生産指数
    6
    一般政府の所得支出勘定
    7
    一般政府の部門別勘定
    8
    社会保障
    9
    国際収支(IMFベース)
    10
    制度部門別貯蓄投資バランス
    11
    地価
    12
    産業別実質産出額(1)大分類
    13
    産業別実質産出額(2)中分類
    14
    産業別実質付加価値額 
    15
    産業別従業者数
    16
    産業別実質輸出額
    17
    産業別実質輸入額
    18
    主要商品とサービスの動向(1)
    19
    主要商品とサービスの動向(2)
    20
    主要商品とサービスの動向(3)

    都道府県別予測

    表1 平均実質成長率(%)
    07-1011-15 16-20 07-20
    全県計-0.7 1.6 1.4 0.8
    北海道・東北-0.8 1.3 1.2 0.6
    関東-0.6 1.8 1.5 0.9
    中部-0.9 1.7 1.5 0.8
    近畿-0.8 1.5 1.3 0.7
    中国-0.9 1.4 1.3 0.7
    四国-0.9 1.3 1.2 0.6
    九州-0.8 1.5 1.3 0.7
    予測期間の平均成長率 1位沖縄、2位東京、3位神奈川
    ―「輸出バブル」はく落で愛知は4位


    白井大地・日本経済研究センター研究本部研究員
    飯塚信夫・日本経済研究センター研究本部主任研究員

    公表日:2009年4月9日
    ポイント
    ・世界経済悪化による輸出減の影響で加工組立業比率が高い程、成長率が大きく低下。
    ・中期的な成長率は民間消費を通して人口成長率が規定。沖縄、滋賀など上位に。
    ・地域間の経済水準格差は縮小、2020年はバブル前程度に。

     日本経済研究センターは、2007年から2020年までの都道府県別の実質成長率と名目成長率の予測を行った。
     この期間、日本全体(全県計)の成長率の平均は0.8%となるが、それを上回るエリアは関東、中部の2地域である(表1)。もちろん、両地域、特に中部は足元の世界経済の急激な落ち込みにより、07-10年度の平均成長率は大幅なマイナスになる。しかし、世界経済が復調すると見込まれる2010年代に入ると、製造業(加工組立業)比率の高い中部では「輸出増→設備投資増」という好循環が期待される。また、日本全体で関東、中部のみが人口増加が続くと見込まれることも成長率を高める要因となる。日経センターでは、中期経済予測の一環として昨年から都道府県別の成長力予測を行っており、今回が2回目の公表となる。足元の急激な悪化を反映した都道府県別の中期的な経済成長の姿を提示するのが本稿の目的である。今回は実質成長率だけでなく、名目成長率の予測も行った。


      レポート本文ダウンロード
      総括表ダウンロード


    【内容】 予測期間2007−2020年
    表1 平均実質成長率
    表2 実質成長率ランキング
    表3 (参考)前回予測 実質成長率ランキング
    表4 県内総生産に占める加工組立業生産比率
    表5 人口成長率ランキング
    表6 実質成長率ランキング順位の変遷
    図1 年代別の平均実質成長率の寄与度分解
    図2 実質県内総支出の全国比
    図3 一人当たり県内総支出の変動係数

    担当項目一覧

    総括:飯塚 信夫日本経済研究センター 主任研究員
    コーディネーター:白井 大地日本経済研究センター 研究員

     項   目担当者名派遣元企業
    米国経済、欧州経済竹井 明史日本政策金融公庫
    中国経済、アジア経済佐々木 真澄全国共済農業協同組合連合会
    資源国経済、原油青柳 孝中部電力
    輸出入、国際収支(日本)、貯蓄投資バランス  白井 大地(日本経済研究センター)
    金利、為替レート、物価浅井 聡子全日本空輸
    企業収益、設備投資小林 直樹三井住友銀行
    民間消費、住宅投資、労働相浜 豊九州電力
    財政・社会保障向井 大祐衆議院事務局
    産業連関表大柳 涼参議院事務局

    お問い合わせ先

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    <内容に関するお問い合わせ先>
    研究本部 予測・研修グループ :TEL:03-6256-7730、FAX:03-6256-7926

    <著作権・転載、報告書の送付先に関するお問い合わせ>
    総務・事業本部 広報・企画グループ :TEL:03-6256-7713、FAX:03-6256-7924

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