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Discussion Paper 133 2012.1

震災の影響を織り込んだ都道府県別将来人口の推計
―震災後、広域にわたり変化した転出入の動きに着目―




出口恭子・政策研究大学院大学准教授

全文/Discussion Paper No.133全文/Discussion Paper No.133

要 旨

 本稿は東日本大震災を受けて、地域の人口や年齢構成に生じうる影響を多少なりとも定量的に示すことを目指し、震災前後で大きく変化した都道府県間の転出入の動きに着目し、震災後の転出入の動きが中長期的にも続くとの単純な仮定の下で都道府県別に将来人口を推計したものである。

 東北3県では、震災がなかったとしても、人口減少率が拡大したとみられるが、福島県では、震災以降における40代以下の世代を中心に拡大した転出超過数の動きが今後も続くものとすれば、より急速に人口減少と高齢化が進む。人口は震災前(2010年)に比べ、2010年代半ばで1割程度、2020年代半ばで2割程度、減少し、高齢化率は2010年には47都道府県の中央値並みであったが、2030年には全国一の高さになる。

 東北以外の地域では、震災以降、地方圏では人口流出のテンポが低下し、大都市圏では、首都圏への人口流入の減少や、近畿や東海では人口流出から流入へと方向性自体が転換した。こうした最近の動きを織り込んで推計すると、首都圏の人口減少の開始時期が2010年代半ばと、震災前の転出入の動きが続くと仮定して推計したケースに比べ、10年程度早まる。東北以外にも、人口や高齢化の進み方が大きく変化する地域が出てくることになる。
 
 ただし、推計の仮定値である各都道府県の将来の純移動率は、今後の復旧・復興の進捗状況等に大きく影響を受けて変動する性質のものであることにも留意が必要である。

【参 考】日経センター「希望と成長による地域創造研究会」の「地域から考える成長戦略」分科会では東日本大震災の発生に伴い、震災復興に焦点をあてながら、地域の成長戦略について検討を進めてきた。本稿はその検討の一環として地域の将来人口や年齢構成をある仮定の下で推計した結果を示したものである。
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