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日本経済研究センターは「アジア経済中期予測」(予測期間2017-30年)をまとめた。予測対象は中国、インド、NIES(韓国、台湾、香港、シンガポール)、ASEAN5(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム)の11ヵ国・地域。さらに日本、米国についてもアジア各国・地域との比較のため加えた。
第2次世界大戦終結後、アジアは地域戦争や経済危機などの転機を経て、成長の突端となる国・地域が次々と変遷し、全体が成長してきた。成長点となった国・地域は、情報関連機器などのイノベーションに産業構造をうまく対応させ、米国など先進国への輸出を中心に経済を拡大させた。アジア通貨危機(1997年)後から今に至る時期は、中国が「世界の工場」として地位を固めた「アジア4.0」と位置づけられ、スマートフォンの普及などでデジタル技術があらゆる産業や生活分野に及ぶ時代となり、第5フェーズ(5.0)に入りつつある。
中国成長率は生産性伸びるも2.8%に鈍化
デジタル技術などイノベーションへの対応力が国・地域の経済成長を大きく左右するとの観点から、アジア諸国の経済予測をした。今後10年間で高い成長率を誇るのはフィリピン(2030年6.4%)、インド(同5.2%)、ベトナム(同5.0%)だ。2016年に6.7%とインドと同程度の成長率だった中国は2030年に2.8%にまで減速する。中国は生産性の寄与度は高いものの、資本ストックの調整が進む。
インドは2028年に経済規模で日本抜く
中国は成長率は減速するものの、2016年に米国の6割程度だった経済規模は2030年までに8割超の大きさに迫る。ただし米国には追いつかない見通しだ。日本との格差は2030年には4.4倍に広がる(2016年は2.3倍)。2016年に日本の5割ほどだったインドは2028年に日本を追い抜き、2030年には1.2倍になる。2030年代にはインドが中国からアジア経済成長のけん引役を引き継ぐ姿が視野に入るだろう。またインドネシアは韓国を追い上げ、2030年にほぼ肩を並べる。フィリピンが2027年にタイを抜き、2029年に台湾を抜く。人口でも経済でもアジアの重心が東アジアからインドやASEANなど南方にシフトしていく。
1人当たりドル建てGDPでは、マレーシアが2023年に、中国が2年遅れて2025年に高所得国入りする。タイはあと一歩で高所得国になれない。インドネシアは2019年、フィリピンは2022年、ベトナムは2028年に高位中所得国となる。高成長のインドは2030年に高位中所得国に僅かに及ばない。シンガポールはアジアでは米国を追い上げる唯一の国となり、香港、日本に差を付ける。他方で日本は香港との差も拡大し、韓国に追い上げられる構図となる。
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