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経済百葉箱 第121号

英国、近づく「合意なきEU離脱」

―迫る交渉期限、決裂は経済への悪影響大きく―

高木英和、<監修>短期経済予測主査:西岡慎一、総括:宮﨑孝史
   

2018/11/05

▼ポイント▼

  • 英国の欧州連合(EU)離脱交渉が難航している。2019年3月末に英国のEU離脱が円滑に実施されるには、①12月までに英国政府とEUが離脱交渉で合意に至り、②合意内容を英国議会とEU議会が承認する必要がある。承認に至らない場合、「合意なき離脱」に陥り、経済に混乱が生じる恐れがある。
  • 交渉を妨げているのは、①アイルランド国境問題の取り扱いと②将来の通商関係である。自由なモノの取引を維持し、国境問題の解決も図りたい英国政府に対し、EU側は自由取引と移民制限の「いいとこどり」を求める案に難色を示している。英国内でも英国政府案への反発の声が強い。
  • 仮に「合意なき離脱」が現実になると、19年3月末から、EUとの間で関税や煩雑な税関手続きが復活する。規制や法制も変更となり、企業活動が停滞する恐れがある。「合意なき離脱」は、欧州の中長期的な経済成長率を1.5%低下させるとの試算もあり、世界経済を下押ししうる点に注意を要する。

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