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中期経済予測 ( 第48回/ 2021-2035年度 )

ウクライナ侵攻後の日本経済

資源高、20年代半ばゼロ成長の恐れ
制裁強化ならマイナス成長も
DX、資源高にも医療介護の生産性向上にも有効

 

2022/04/01

<<ポイント>>
  1. 標準シナリオ--22年度中に新型コロナウイルス感染は収束する。ウクライナ侵攻による資源価格の高騰(22年度の原油価格を110ドル/バレルと想定)を受けた物価上昇、世界経済成長率の低下のインパクトは2020年代半ばまでに集中する。日本経済は20年代半ばにゼロ成長へ陥る。日本企業の営業利益は過去最高益だった18年度水準に35年度まで戻ることはなく低迷する。特にエネルギー多消費型産業は厳しい局面に遭遇するだろう。貿易・サービス収支は恒常的な赤字となる可能性があり、経常黒字は2010年代平均と比べ35年度には半減する。30年代に入ると人口減少・高齢化の加速により、経済成長率はマイナス成長が常態化する。
  2. リスクシナリオ--ウクライナ侵攻における非人道的な戦闘行為が一層深刻化、ロシアへの欧米、日本などの経済制裁がより一層強化され、資源価格が23年度にもう一段高騰(原油価格は140ドル/バレル)する可能性がある。その場合、2020年代にもう一段成長率を押し下げ、24-27年度はマイナス成長になる恐れがある。26年度まで経常赤字が続き、企業の営業利益は標準シナリオよりもさらに低下する。大量の国債発行を国内で消化することがだんだんと厳しくなり、財政の自由度が小さくなる。さらに生活水準も低下する。このような状況に日本社会が耐えられるのか、不安がある。
  3. DX活かした医療介護の生産性向上、GDP底上げに直結(各論)--高齢化がさらに進み、労働力人口が減少に転じる中では、労働生産性の向上がなければ、日本経済の成長はない。知識や情報のような無形資産の重要性が増すが、日本では、新しい知識や技術を吸収し生産活動に応用できるための人的投資や組織改革が遅れている。無形資産投資に戦略性がなく、DXも進んでいない。DXによって、医療人材の効率的な活用が進み、介護現場での連絡調整や記録などをはじめとする煩雑な間接業務などが効率化されれば、2035年までの医療介護の就業者の増加を3分の1程度に抑制できる。より生産性の高い分野への人材配分も可能となり、日本の実質GDPの水準を2%程度引き上げられる。

20年代半ばにはゼロ~マイナス成長が定着 / 経常黒字は10年代から半減も

(資料)内閣府「国民経済計算年次推計」、財務省・日本銀行「国際収支統計」。21年度以降は日本経済研究センター推計


 ロシアによるウクライナ侵攻では子供を含む多数の無辜の市民が犠牲になっています。ウクライナ国内外への避難民も同国人口の4分の1になろうとしています。犠牲になられた方々に哀悼の意を示すとともに、1日も早いロシア軍の撤退、停戦、和平が成立することを日本経済研究センターは祈念しています。

 主任研究員・小林辰男、出口恭子、副主任研究員・宮﨑孝史、高野哲彰、田中顕、特任研究員・落合勝昭、研究生・泉谷諒(大成建設より派遣)、丸山大介(日本経済新聞社より派遣)で執筆した。

 

総論の英訳を掲載しています。こちらをご覧ください。

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