テック株ブームの米国では未公開株市場にも資金が流入し、ユニコーンも1年前の2倍に激増している。特にソフトウエア系スタートアップに多くの資金が集中しつつある。ソフト系ユニコーンの集積地としてはサンフランシスコ、ニューヨークなどの存在感が高まっており、シリコンバレーは地盤沈下が進む。さらに投資家サイドの多様化も進み、プライベートエクイティ(PE)やヘッジファンドなど、従来のベンチャーキャピタル(VC)とは異なる「非伝統的投資家」が台頭。米国のスタートアップ生態系はコロナ禍を経て大きく変貌しつつある。
【ポイント】
- 米国ではコロナ禍でスタートアップへの投資資金が加速し、ユニコーンも1年前の2倍の457社に激増した。特にソフトウエア産業への投資比率が高まり、ソフト系ユニコーンも100超が新たに生まれ、米国ユニコーン全体の約4割を占めた。
- ビッグデータ解析、人工知能(AI)関連のスタートアップが主流で、サービス産業やオフィスワーク、ソフト開発などの生産性向上を支援する企業も目立つ。データ解析のデータブリックスなどがデカコーン入りした。
- ソフト系ユニコーンの多くがサンフランシスコに集積している。シリコンバレーはユニコーンからの「卒業」も相次いだことからシェアが低下し、一方でニューヨークなど「その他」の都市へとスタートアップ・ハブの地域分散が進んでいる。
- ソフト系ユニコーンへの投資家として、プライベート・エクイティ(PE)やヘッジファンドなど「非伝統的投資家」が台頭している。タイガー・グローバル・マネジメントがその代表で、ユニコーン全体の投資数でもトップに立った。
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