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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「ユニコーン新潮流」 (1)

ユニコーン800社超え、デカコーンも倍増

―テック規制強化で中国停滞、米国は好調

上原 正詩
  主任研究員

2021/10/20

 コロナ禍下のテック株ブームでスタートアップの上場が相次ぐ中、未上場のユニコーンの世界はどう変化しているのか。上場によるユニコーンリストからの「卒業」の増加でその数は減少したと思いきや、実はプライベートな株式市場にも資金が流入し、「新規」加入も急増してユニコーン数は大幅に増えている。どのような国・地域、産業分野に新しいユニコーンが誕生しているのか。評価額が上昇したスタートアップはどこか。連載企画「ユニコーン新潮流」では4回に渡り、ユニコーンを中心とするスタートアップ生態系の新しいトレンドを探る。

【ポイント】

  1. コロナ禍でSPAC(特別買収目的会社)などを通じたスタートアップの上場が急増する中、評価額10億ドル以上の未上場スタートアップであるユニコーンも大幅に増えている。その数は世界で800社を超え、1年前のほぼ2倍に達した。評価額100億ドル以上のデカコーンも1年前の27社から49社へとほぼ倍増するなど大型化も進んでいる。
  2. 評価額トップ2社は字節跳動(バイトダンス)と螞蟻集団(アント・グループ)という中国系企業が占めた。しかし中国政府がテック企業への規制を強化する中、中国系デカコーンはいずれも何らかの影響を受けている。評価額も高まっておらず、停滞感が漂っている。
  3. 米国系デカコーンは決済サービスのストライプの評価額が1000億ドルを超えるなど、金融系の評価額が上昇している。中国に比べて、米国では新陳代謝も活発で好調を維持。モビリティ系では電気自動車メーカーのリビアンなどが新たにリスト入りした。