日本の経済成長と先端的な情報通信技術(ICT)投資・活用の関係を分析すると、ICT戦略のまずさが浮き彫りになった。金融や宿泊・飲食など非製造業でICTに投資すればするほど労働生産性は低下する業種も見受けられた。また同投資の効果が高い自動車は、生産の海外移転が進み、国内の生産性向上に寄与しにくい構造にある。AIやIoT投資を収益に結びつけている上場企業も1割程度にとどまる恐れがある。既存システムや業務体制をICT向けへ抜本的に改革していないことが原因だ。ただICTを収益に結びつけている最優良企業群並みに日本全体が改革できれば、成長率は4%程度押し上げられる。ハード投資と人海戦術に依存する経済社会体制から脱却することが、第4次産業革命を生き残る必要条件だろう。政府が打ち出したサービス産業の生産性向上に向けた官民協議会の議論の進展などを見守りたい。
日本経済研究センター
※17年7月14日付の日本経済新聞朝刊・経済教室に、井上知義主任研究員と高口鉄平特任研究員が寄稿しました。(「企業のAI・IoT活用 非製造業 ゼロから構築を」)
図1 非製造業の多くでICT投資は生産性向上に役立っていない


(注)「ランキング企業並みの効果を実現した場合」は、標準シナリオの成長率に2030年度までに4.1%ポイント上乗せとなるように各年の成長率に徐々に上乗せした場合。
(資料)GDPの実績値は国民経済計算、予測値は日本経済研究センター「第43回中期経済予測:標準シナリオ、改革シナリオ」
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