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中国・アジアウォッチ シリーズ企画「『ウェブ3.0』が拓く世界」 (上)

ブロックチェーンはGAFAM代替の基盤に

――イーサリアム考案者、ヴィタリック・ブテリン氏

上原 正詩
  アジア予測室長兼主任研究員

2019/10/29

イーサリアムを考案したヴィタリック・ブテリン氏

 ブロックチェーン技術(分散型台帳技術=DLT、Distributed Ledger Technology)への関心がアジアを含めた世界中で高まっている。暗号通貨取引所からの巨額流出事件などで日本では批判的な見方も多いが、「インターネット以来の発明」などとも言われる。米フェイスブックがDLTなどを使ったデジタル通貨「リブラ」の発行を主導する一方、カンボジアや中国などアジアの中央銀行も紙幣を置き換える同様の通貨を準備中とされる。
 データ改ざんが難しいDLTの安全性に注目し、証券や不動産取引など暗号通貨以外の応用も広がっている。応用拡大を促したのが2014年に登場したDLT「イーサリアム(Ethereum)」だ。乱立する暗号通貨の中で、ビットコインに次ぐ世界第2位の時価総額を誇る。イーサリアムをベースとした、個人情報(プライバシー)を重視する様々な応用ソフト「ダップス(DApps)」も登場してきており、「GAFAM(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)」とも呼ばれるテックジャイアントが支配するネットの世界をDLTが覆す可能性も指摘される。
 シリーズ企画「『ウェブ3.0』が拓く世界」ではイーサリアム関係者3人にインタビューした。第1回はイーサリアムの提唱者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏。大阪で開催されたイーサリアム開発者向けの国際会議「デブコン5(DevCon5)」に出席するため来日した同氏に、新しいネットの世界「ウェブ3.0」の可能性などについて聞いた。

【(上)のポイント】

  1. ブロックチェーン技術(分散型台帳技術=DLT、Distributed Ledger Technology)「イーサリアム」は、テックジャイアントが個人情報を含めた各種データを支配する「ウェブ2.0」の世界を代替するプラットフォームとして使われるだろう。
  2. DLTは国際送金や保険など金融分野での利用がまず進むだろう。身分証明(ID)といった非金融分野も可能性のあるマーケットだ。
  3. 現在のイーサリアムを改善した「イーサリアム2.0」では承認コストが低下し、取引手数料も安くなる。処理速度も高速化する。3段階に分けて導入されるが、第1段階は来年初めになるだろう。