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エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル

経済構造変化なき成長、ゴミは増加

DXの加速が必要に

小林 辰男
  政策研究室長兼主任研究員

2023/05/12

 第49回中期経済予測(2023年3月公表)の各論5では35年度までの温暖化ガス(主にCO2)排出量を予測した。日本の削減目標である30年度までに13年度比46%以上の削減は難しいとの結果になった(30年度で4割弱)。今回は持続可能な成長に関連する廃棄物の発生量について簡易に予測してみた。30年代には恒常的にマイナス成長となる中期予測の標準シナリオでは、35年度までに一般廃棄物(家庭やオフィスのごみ)は13年度比で18%程度減少する。産業廃棄物は同3%程度しか減らない。30年代に入っても0.6%程度成長する改革シナリオの下では、一般廃棄物は16%減少にとどまる。産業廃棄物は約3%増加する。脱資源社会を実現するDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速なしには発生量を減らすことは難しいようだ(図)。

図 エネルギーや資源に頼らない成長を実現しないと廃棄物は減らない

(資料)環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等」「日本の廃棄物処理」より当センターが予測

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