東南アジアの「スーパーアプリ」を目指すグラブ(シンガポール)がSPAC(特別買収目的会社)を使った株式公開を急いでいる。調達した資金で決済アプリ「グラブペイ」をテコに金融ビジネスを拡大する狙いだ。しかしニューヨーク証券取引所に上場するシー(シンガポール)が、潤沢な資金を武器に電子商取引サイト「ショッピー」や決済アプリ「ショッピーペイ」を急拡大し、グラブの行く手を阻もうとしている。グラブのライドシェアのライバル、インドネシアのゴジェック(ジャカルタ)もシーの攻勢に防衛を余儀なくされている。電子商取引最大手トコペディア(ジャカルタ)を統合し、決済アプリ「ゴーペイ」の基盤を拡大することで対抗する。コロナ禍の影響も受けて東南アジアのネット・ビジネスは再編モードに突入している。
【ポイント】
- 東南アジアの「スーパーアプリ」を目指すグラブ(シンガポール)がSPAC(特別買収目的会社)との合併を通じて株式公開を急いでいる。コロナ禍でライドシェアからフードデリバリーに事業の軸足を移す同社は、同時に決済アプリ「グラブペイ」を核にフィンテック事業を強化しようとしている。
- グラブのスーパーアプリ戦略の前に立ちはだかるのが、ゲーム事業からスタートしたシー(シンガポール)だ。同社は電子商取引サイト「ショッピー」を拡大中で、そこで使われている決済アプリ「ショッピーペイ」を東南アジアの決済インフラにしようとしている。ニューヨーク証券取引所に上場する同社の株価はコロナ禍で高騰し、市場から調達した潤沢な資金を惜しみなく事業拡大に注ぐ。
- グラブのライバル、ゴジェック(ジャカルタ)もシーの攻勢に防衛を強いられている。地場の電子商取引最大手トコペディア(ジャカルタ)との合併を決め、決済アプリ「ゴーペイ」の基盤を拡大する。経営資源を集中するため、タイの事業をエアアジア(セランゴール州セパン)に売却することも決めた。コロナ禍、そしてSPACが東南アジアのネット業界の再編を加速している。
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